離島でのインターンシップに励む学生。これが“島おこし”にもなっている。

写真拡大 (全4枚)

人生の経験値が高い人って、頼り甲斐があります。筆者も高めたい!
もちろん、日々の生活で様々な経験を重ねることは可能ですが、たまには特別なことをしてみたい。ボランティアだっていいでしょう、遠くの島へ旅に出るのもいいでしょう。

話は変わって。株式会社カケハシスカイソリューションズは、「町おこしに取り組む日本の離島」と「都会ではできない就業体験を望む学生」のまさに“架け橋”となるべく、島おこしインターンシップ「島キャン」を実施しています。
これは「島をCampus(学び場)に、島でCamp(仮住まい)し、あなたと島のCan(可能性)を見出すために」をコンセプトに名付けられた新企画。要するに離島で職業体験をしながら“島おこし”をする……という新しい形のインターンです。
「弊社代表の中川は、島根県出雲市出身で小中学校時代を北海道恵庭市で過ごしたことからずっと地域活性の事業に興味がありました。『採用』を事業にしている私たちにできることは若者の力を離島とつなぐ“カケハシ”となる仕組みと考え、2014年4月より『島キャン』を開始しています」(同社・担当者)

2014年夏(8〜9月)には8つの離島、計40事業所で、約170名の大学生が参加したという「島キャン」。今回(2015年2〜3月)のインターン先も、計22事業所が受け入れ先として挙がっています。
例えば……
●「黒潮の森マングローブパーク」(奄美大島)
担当するのは、施設利用の受付とカヌーのツーリングガイド。“施設の顔”である受付となり、お客様に楽しい思い出を作っていただけるよう、とびきりの笑顔でお迎えする。ツーリングガイドはお客様とともにカヌーを漕ぎながら、マングローブの森へご案内。お客様へ魅力をお伝えしながら、参加者自身もこの土地の新たなアピールポイントを発見しよう!
●「与論町役場・環境課」(与論島)
与論島の特徴は、白い砂浜。 周囲に60もの砂浜があり、白と青のコントラストを見せてくれる。参加者が担当するは砂浜整備や清掃、さらにサンゴたちの保安活動。島中の海を車で回るので、免許所有者を歓迎!
●「安田そうへい事務所」(奄美大島)
奄美市名瀬出身の政治家・安田そうへい氏。東京での大学・社会人生活を経たのち、平成20年、本格的な島おこしに取り組むため、地元へ戻ることを決意。平成23年より、奄美市会議員として島内外の交流に尽力している。
安田の活動フィールドは、まさに島おこしの最前線。参加者には、秘書業務を通じてサポートしていただきたい。政治家とともに島おこしを学べる貴重な機会!
●「台所 Haisai」(沖永良部島)
レストラン「台所 Haisai」は、”島の台所”をテーマに、ハイサイ!と気軽に入ってきてもらえるようなお店づくりを行っている。自慢は、新鮮な島の野菜をふんだんに使った島料理。
参加者には、島人になりきってお客様をおもてなししていただきたい。まかない付なので、島の味もぜひ覚えて帰って!

というわけで「島キャン」に参加し、離島で就業体験の日々を過ごしたとしましょう。その生活の中で義務付けられているのは、「SNS投稿」です。
島への到着時、インターンシップ内容、島キャンイベントの様子、修了式など、参加者の島キャン生活をFacebookページに、またはInstagramとTwitterで「#島キャン」のハッシュタグを付けて投稿する。それが即、島のPRとなるわけです。

要するに就業体験期間中のミッションは、以下の流れだとお考えください。
(1)全力で就労体験⇒“はたらく”をしる
受入れ事業者の適切な仕事の提供および指導により、学生が“はたらく”について考える機会を得る。
(2)島の方々との交流⇒“島・地域”をしる
受入れ事業者からのレクチャーおよび地域の方々との交流により、学生が“島・地域”について考える機会を得る。
(3)島で撮った写真をSNSに投稿⇒島をPRする
受入れ事業者および地域の方々から習い学んだ島の生活、食事、風景、文化、歴史、etc…が全世界に発信される。

そして、就業体験終了後にもいくつかのミッションが待ち受けています。その中でも最注目は「島おこし PR動画制作」でしょうか。インターンシップ期間中に日々の活動を写真・動画で撮影しておき、それらの素材を活用して島ごとのPR動画を制作。これが、やはり地域活性化に繋がります。編集・制作指導はプロが担当するので、学生時代の思い出として、ずっと残る作品に仕上げたい!


再生されない場合はこちら

ところで気になるのは、受け入れ先の事業所が「島キャン」についてどう感じているのかということ。各離島にとって本当にありがたい企画なのか、それとも実は迷惑だったりするのか……? いや、実際には以下のような声が寄せられているそうですよ。
●「島には大学がないため、若者は島外に出る。20代の学生が島に来てもらえることで、非常に活気が出た。大学生と話をすることは、お年寄りにも、中学生・高校生にも刺激になったのではないかと思う。ぜひ、継続して島キャン生を受け入れていきたい」
●「学生のレベルの高さは、予想外であった。特に、勤労意欲の高さには驚く事が多かった。Facebookを通じての情報発信の積極性は、嬉しい限り。このFacebookから、多くの反響が島外からもあった」
●「島キャンインターンのみんなが“島のためにできること”を話し合っています。『島の踊りを踊れるようになろう!』とか『島の人にインタビューしてフリーペーパーにしょう!』とか、たくさんのステキなアイデアが生まれて嬉しい限り。僕を含めて沢山の大人たちがいい影響を受けてます。ありがとう!」

「島キャン」の募集対象は大学生・大学院生・短大生・専門学校生(学年不問)だが、社会人他、島おこしインターンに興味があれば学生以外でも参加できるとのこと。
「島キャンへの参加動機は社会貢献や地域活性への興味、意欲である学生がほとんどで、就活該当年次であっても就活を有利にすることを目的に島キャンを実施したという声は聞いておりません。ただし、結果として島キャン参加による就業体験や学びが就活での武器になることはあると思います」(担当者)

学生にとっては貴重な体験となり、就活における有利な材料にも成り得る。各離島にとっては、地域活性化にも繋がる。インターンシップが即ち“島おこし”となるシステムが有意義だし、新しいです。
(寺西ジャジューカ)