欧州で進化を遂げた「アップルギョーザ」、気になるその味は?

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海外で独自の進化を続ける日本食。その担い手は日本人以外かと思いきや、じつは日本企業が、海外向けに新しい切り口を売り出そうとしている場合もある。その一つが、食品大手「味の素」が欧州で発売する「アップルギョーザ」だ。一体どんな商品なのか? ヨーロッパ味の素社に聞いてみた。

「アップルギョーザは、餃子の中身をひき肉ではなくリンゴにした、デザート感覚の商品です。3種類のリンゴを使った果肉と、そのピューレをギョーザの皮で包みました。焼きギョーザではなく、揚げギョーザとしてお召し上がりください。お好みによってシナモン、チョコレートクリーム、アイスクリームなどを添えてもおいしいですよ。2月から現地日本食材店の店頭に、順次並んでいく予定です」(担当者)

同商品は、手始めにドイツ、英国、オランダ、フランスなど西欧で売り出されるそうだ。なかでもドイツや英国など、揚げ物文化の国からの引きが強いという。またそれら国々は、今回の商品に限らず、新しいものを取り入れようとする傾向が、他国と比べて強めでもあるのだとか。しかし、なぜギョーザにリンゴを入れることになったのか。

「ギョーザを売り出していく過程で、デザートもないのかと問い合わせを受けたことがきっかけです。中身はリンゴの他に、ピーチ、クランベリー、洋梨なども試しましたが、試行錯誤の結果、まずは消費量が多く、もっとも馴染みがあるリンゴで行こうということになりました」(同)

「ギョーザなのにリンゴ」と聞くと「えっ!?」と思う日本人は多いだろう。もちろん日本と同じものを広めていくことに意義はあるが、欧州の人々にとって親しみやすいものを提供することは、ギョーザを広く受け入れてもらい、結果的に知名度を上げていく一助にもなる。

さて、気になる味はどうだろう。食べてみると……まさに食感の良いアップルパイ! アップルパイだけれど、ギョーザの皮を使っているため生地が重くなく、おやつ感覚でパクパクつまめる。タネとして使われている3種類のリンゴも、異なる食感を時間差で運んでくれるので、重層的にリンゴの味が舌へ伝わる。これは、日本でも売れるだろう。 

商品開発以外にも、パッケージに使う写真やデザインに欧州のデザイナーを起用するなど、現地の人がセンスに親しみやすさを抱いてくれるように努めたそうだ。「市場の要求に合わせながら新しいトレンドを作っていきたい」という担当者の言葉通り、海外で進化を遂げたギョーザが、日本へ逆輸入される日も近いのかもしれない。
(加藤亨延)