今回は冷たいままで食べたが、温かいつゆをかけてかけうどんで食べてもOK

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先日、岩手県に行ったとき、ちょっとビックリするアイテムを発見した。その名も「どんぐり麺」。森でよく見かける、あのどんぐりを使った麺だ。そういえば昔、娘に絵本を読んでいたとき、「どんぐりって食べられるの?」と聞かれて、即答できなかったことがあるが、どうやら食べられるらしい。

原材料は岩手県の小麦、どんぐり、食塩と非常にシンプル! どんぐりはタンニンと呼ばれる渋み成分を除いたペースト状のものを混ぜ入れてあるそうだ。早速食べてみることに。

見た目は蕎麦にも似た茶色。気になる味だが、木の実を感じる素朴な味わいだ。意識して食べると、ほのかな苦味もある。コシがあり、食べごたえもあるので、個人的にはかなり好みの味。近所で手に入るならリピートしたいくらいだ。

商品を販売している岩泉産業開発に話を聞いてみると、「どんぐり麺」の販売開始は1994年。なんと約20年もの歴史がある商品だった。同社がある岩手県の岩泉町を含む地域は、かつてどんぐりを食べるという食文化があった。どんぐりは体を動かすエネルギー源であるタンパク質や脂質を含み、貯蔵性も高いので、救荒食として食べていた歴史があるのだという。そんな背景をうけ、約20年前に地元の婦人部が「後世にどんぐりの食文化を残そう」と活動をスタート。同社で商品化するに至ったそうだ。

どんぐりを使った商品は“どんぐりシリーズ”として展開しており、「どんぐり麺」のほかにも、ほろ苦さを感じる野趣的な味わいの「どんぐりクッキー」(400円税抜)、もちもち感がウリの「どんぐりパン」(400円税抜)がある。いずれも「いわいずみネットショップ」 で買えるほか、岩手県内にある「道の駅 いわいずみ」や「道の駅 三田貝分校」などでも購入可。これら2つの道の駅では「どんぐりラーメン」も食べられるそうだ。

ちなみにこれらの商品は、いずれもどんぐりを加工したものを混ぜて作っている。このあたりでは、「コナラ」と「ミズナラ」という種類のどんぐりが主にとれるそうで、拾い集めたどんぐりを乾燥させ、殻を除いて一晩浸水させたら重曹を入れて茹でる。何度も水を替えて茹で、ペースト状になるまで繰り返しアクを抜く。そうして出来上がったペースト状のアク抜きどんぐりを冷凍保存しておき、用途に応じて更に粉末などに加工しているそうだ。ちなみに大変なのは、どんぐりの実を集めること。また、アク抜き方法の習得にも苦労したという。

昔ながらの生活の知恵をかたちにしたどんぐりシリーズ。絵本好きな子どもも喜んで食べてくれそうだ。
(古屋江美子)