「TORO TOKYO」外観。オシャレな雰囲気だが堅苦しくなく、気軽に立ち寄れる

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世界一のレストラン「ノーマ」がデンマークから期間限定で日本にやってきて話題になっている。一昔前まで美食のイメージが薄かった北欧だが、いまや世界が注目する美食エリアとなった。

そんな北欧に続いて、数年前から評価が高まっている美食エリアが中南米だ。ノーマが1位を獲得した英『レストラン』誌のランキング「世界のベストレストラン」でも、ペルーやブラジル、メキシコといった中南米のレストランは上位の常連である。

南米料理の中でも、日本人に比較的なじみ深いのはメキシコ料理だろう。トウモロコシを主食とし、タコスやファヒータなどおなじみの料理も多い。2013年には和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたが、メキシコ料理は一足先に2010年に登録されていた。

中南米料理を出す店は日本にもあるが、メキシコ料理以外はかなり少ない。かといって、現地まで行くには遠すぎる……。そんなふうに思っていたところに、世界各地にファンを持つ本格的な南米料理のレストランが日本に上陸するという朗報が! それが東京・銀座に昨年12月にオープンした「TORO TOKYO(トロトーキョー)」だ。

オーナーシェフのリチャード・サンドバル氏は「メキシコ料理の父」と呼ばれる有名シェフ。メキシコシティに生まれ、世界一の料理学校といわれるニューヨークの「カリナリー インスティチュート オブ アメリカ」を卒業。1997年にニューヨークにモダンメキシコ料理レストラン「MAYA(マヤ)」を開業し、今ではアメリカのみならず、母国であるメキシコや、カタール、香港など世界各地で店舗を展開。アメリカン航空の機内食も手掛けるなど活躍の幅は広い。

そんなサンドバル氏の料理だが、意外にもベースになっているのは、伝統的な家庭料理、いわば「おばあちゃんの味」なのだそう。同店でもおばあちゃん直伝のタコスは看板メニューのひとつになっている。

メキシコ料理というと、「チリ(唐辛子)を使うから辛い」というイメージがあるかもしれないが、サンドバル氏いわく、「全体としての味のバランスを非常に重視しており、チリもハーブのように風味付けに使うため、特に辛くはない」とのこと。実際にいくつかの料理を食べてみたが、辛すぎたり、味が濃すぎたりすることはなく、想像以上に繊細な味付け。酸味や甘味が非常にバランスよくまとまっていた。

サンドバル氏の「メキシコ以外にも美味しい南米料理があることを知ってほしい」という思いから、同店ではメキシコ料理にくわえて、ブラジル料理やペルー料理などラテンアメリカ全般の料理を幅広く提供している。現地の味を大切にしつつも、各国のローカル食材なども使い、地元に根差したレストランにしていきたいそうだ。

日本の店舗は銀座コリドー街という好立地にあり、全160席の2階建て。1Fはカジュアルなカフェ&バースタイルで、2F落ち着いた雰囲気のレストラン。11:00〜23:00まで営業しているので、気軽なランチやお茶、ディナーなどにいろいろなシーンで使えるのが魅力。タコス、ファヒータ、セヴィーチェ、チュラスコなどメニューも多彩。テキーラも豊富にそろっているので、バー利用もOKだ。

知っているようでまだまだ知らない魅惑のラテン料理。ぜひ一度味わってみては?
(古屋江美子)