エプソンのシースルー型ヘッドマウントディスプレイ「MOVERIO BT-200」

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2015年は何の年か知っていますか? 実は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTII』で登場した未来世界と同じ年です。映画の世界に現実が追いついてしまったわけですが、自動車は空を飛んでいないし、服に自動乾燥機能も付いていません。テクノロジーに関しては、現実世界は追いついていない……。
そう思っていたら、すごく未来っぽい製品を発見してしまいました。エプソンが発売しているヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)「MOVERIO BT-200」です。

HMDといえば、文字通り頭にかぶって映像を見るイメージがありましたが、同製品はメガネ型で、レンズ部分がシースルーとなっているため、いま見ている景色に映像が浮かび上がっているように見えます。
実際に体験してみたのですが、前方の景色が見えるのに、映像もちゃんと見えるのはとても不思議な感覚で、つい感嘆の声がもれてしまいました。特に驚いたのは「TekkyuAR」というAR(拡張現実)を応用したゲームアプリで、周囲からは立方体の箱にしか見えないのに、本人にはその中に3D迷路が見えており、中にある(見える)鉄球を箱の外まで導くというものです。スマホで同様のゲームをやったことがあったのですが、ハンズフリーなのでまったく違う体験に感じられ、小一時間やっていたくなりました。

ところでエプソンといえば、プリンターやプロジェクターのイメージが強いメーカーではないでしょうか。そんな同社がHMD開発に至った経緯を、同社のHMD事業推進部長の津田敦也氏に聞きました。
「自社技術を組み合わせて何が作れるかと検討したうちのひとつに、HMDがありました。次に、どんな特徴のHMDなら世の中をおもしろくできるか検討し、出た答えは外でも大画面を体験できるHMDでした。家ではプロジェクターを使用してみんなで楽しむ。外ではHMDを使用して1人で楽しむように使い分けることで、プロジェクションの新しい領域ができるのではないかという考えです」

実は2009年にエプソンは、強みとしている「省・小・精の技術」(エネルギーを省く、モノを小さくする、精度を追求する)を活用し、新たな事業展開を行う長期ビジョンを発表していました。その成果のひとつがHMDだったのです。
「ものづくりは、作ってみて初めて分かることがたくさんあります。とりあえずやってみよう、という空気感が最近の日本企業にはあまりないのではないでしょうか。そこをエプソンのなかでは変えていこうという方針でした」(津田部長)

そんなエプソンが、現在の技術を極めた先にどんな未来が待っているか、アニメーションにしています。

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これぞまさしく、映画に登場するようなワクワクする未来ですね!

同社はこれまでに、大学での教育や聴覚障がい者向けの支援システム、物流の現場などでHMDを活用した実証実験を行ってきました。
「見えないものが見えるようになるというのは、さまざまな場で有効になると思っています。オペラの舞台上演にあわせて字幕を表示させる実験もしました。今年はまたおもしろいことが起こるかなと思っておりますので、ぜひ注目していただけるとありがたいです」(津田部長)
少しずつではありますが、着実に“ワクワクする未来”が近づいているようです。

エプソンのサイトでは、同社の技術の紹介、そしてそれらを応用、組み合わせた先にどんな未来が待っているか紹介しています。今後も随時情報を追加してくとのことですので、未来を少しのぞいてみたいと思ったらぜひ見てみてください!