ブライダルテーブルが置いてあるインテリア店。店の外観もはなやかなプレゼント仕様です。

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ドイツにきて、「ブライダルテーブル」という言葉を初めて聞いた時は、披露宴のテーブル席のことかと勘違いしてしまいました。そういう意味にもとれるのですが、本来的な意味は、「結婚を控えたカップルが作る、新生活に必要なもののリスト」のことなのです。

結婚披露パーティーに招待された親類や友人・知人が、新郎新婦に何をプレゼントしたらよいかと、あれこれ考え悩むのは、ドイツでも同じこと。そこで、カップルがあらかじめ選んだデパートやインテリア店、家電店などの店内の一角に、自分達専用のテーブルを置いてもらい、そのテーブルの上に「新生活に必要なもののリスト」を掲げます。招待客はその店に出向き、リストの中から自分達の予算に見合った商品を選んでその場で購入し、現品(大型商品や旅行なら、その商品の目録など)をテーブルの上に置くわけです。

このようにして、リストに挙った「欲しいもの」が、一つ一つ削除されていくのと反比例して、テーブルの上が徐々にプレゼントで賑やかになっていくという仕組み、それがブライダルテーブルです。実際に必要とされているものを贈ることができるので、贈るゲストも安心。本当に欲しいものをもらえるカップルも、もちろん満足。テーブルを設置した店舗の方も、ある程度高価な商品をまとめて買ってもらえるわけですから、これまたホクホク顔ということで、合理的かつ幸せ一杯の贈答システムです。

もっとも、近年では、このブライダルテーブルをオンラインで公開しているカップルも多いのだそう。招待客が、わざわざ店に足を運ぶ必要はなくなり、オンラインカタログで商品を選んでクリックで購入し、ウェブ上に公開されているブライダルテーブルの上に、その商品を置くというスタイルです。もともと合理的なシステムに、さらに合理化の拍車がかかっているようです。

「わあ! こんな素敵なプレゼントをいただいちゃった!」というサプライズが無いのはいささか物足りない気もしますが、無駄を省いて合理主義に徹したいカップルにはぴったりのシステム。ちなみに、誰がどの商品を選んで買ってくれたのかは、希望によって公開・非公開を選べるようですが、「知らせないでほしい」というカップルが多数を占めるそうです。せめて、ほんの少しだけでも、サプライズを残しておきたいのかもしれません。
(柴山香)