クリスマスケーキになったヌガーグラッセ

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数あるフランス発スイーツのなかで、今押さえておいて損はないのがヌガーグラッセだ。ヌガーグラッセとは、ナッツやドライフルーツを砂糖と水あめで固めた、南仏のお菓子「ヌガー」を使ったアイスケーキのこと。メレンゲを冷やし固めることで仕上げ、アイスクリームより軽いふわりとした食感になる。

なぜ「押さえておいて損はない」かというと、今年のクリスマスケーキにこのヌガーグラッセを採用するところが出てきたからだ。一部フランス料理にくわしい人だけだったヌガーグラッセの認知度が、これを機会に日本でも広まりつつある。

とりわけイトーヨーカドーは、今年クリスマスケーキとしてヌガーグラッセを全国で予約(12月16日まで)販売する。なぜヌガーグラッセがクリスマスケーキに取り上げ出されたのか? 同社ヌガーグラッセをプロデュースした東京都駒場東大前にあるレストラン「ビストロエガリテ」に聞いてみた。

「ヌガーグラッセが製造に非常に手が込むスイーツで、今までに商品化されていなかったということが理由の1つです。そのためイトーヨーカドーとコラボして開発しました。手間をかけた分、こだわりの商品としてお届けできる予定です」(同店・田中勇一シェフ)

田中シェフは、フランスのミシュラン2つ星レストランなどに勤めた後、前述のビストロエガリテを開いたフレンチの専門家だ。本場フランスで、ヌガーグラッセはどのような立場のケーキなのだろうか。
「家庭料理というより、レストランで食べる機会の方が多い料理です。各店で少しずつレシピが異なり、店の個性を知れる伝統的なデザートと言えます。今回クリスマスケーキとして作ったヌガーグラッセは、イチゴのフレッシュさと、ナッツの香ばしさ、異なる食材の食感の組み合わせを意識しました。アイスケーキですので、もちろん冷たいですが、メレンゲに空気が含まれているため、直接的な冷たさではありません。クリスマスディナーの後でも重くないスイーツに仕上げています」(田中シェフ)

イトーヨーカドーのヌガーグラッセは今回1000個限定で販売される。というのも、ヌガーグラッセが製造に時間がかかることに加え、田中シェフのヌガーグラッセは、イチゴを煮出してヌガーに色をつけたり、メレンゲの表面をバーナーで焼くなどの手作業が入るため、1000個が限界なのだとか。

今年のクリスマスケーキをどうしようかと迷っている人は、ヌガーグラッセをテーブルに、南仏風クリスマスを過ごしてみてはいかが? いつものクリスマスに少しアクセントをつけられるはず。
(加藤亨延)