【米国はこう見ている】イチローに再び試練!? ヤンキースが外野手の補強に本腰
本命はツインズのジョシュ・ウィリンハム
ヤンキースが右打ちの外野手の補強に本格的に乗り出していると、CBSスポーツが報じた。本命はツインズのジョシュ・ウィリンハムで、他にも複数の選手の名前が挙げられている。スクープを連発する名物記者のジョン・ヘイマン氏による記事で、信憑性は高いと言えそうだ。実現すれば、イチロー外野手はまたも厳しい立場に追い込まれることになる。
記事によると、ヤンキースはレンジャーズのアレックス・リオス、フィリーズのマーロン・バードらも獲得候補としているが、ウィリンハムが本命だという。ウィリンハムは今季の年俸700万ドル(約7億1400万円)とお買い得で、シーズン終了後にはフリーエージェント(FA)となる。ヤンキースにとってはリスクの少ない補強だ。
キャッシュマンGMは先日、ESPNのラジオに出演した際に、補強に動くことを明言していた。先発投手陣には怪我人が続出し、開幕からローテーションを守り続けているのは黒田博樹だけという状況だが、ブランドン・マッカーシーやクリス・カプアーノの補強、ルーキーのシェーン・グリーンの奮闘などで、持ちこたえている。逆に同GMは打線を「シーズンを通じて貧弱」と酷評し、補強の必要性を訴えていた。そのターゲットをウィリンハムに絞ったということのようだ。
ウィリンハムは今季序盤、手首の骨折で離脱して57試合の出場にとどまっている。打率2割1分9厘、10本塁打、29打点と物足りない数字に見えるが、ヘイマン氏の記事では、ウィリンハムが現在のターゲット・フィールド、アスレチックス時代のオークランド・コロシアム、マーリンズ時代のプロ・プレイヤー・スタジアム(当時)と、常に投手有利の球場を本拠地にしてきたことを指摘。骨折から復帰した現在は体の状態も良く、メジャー屈指の「ヒッターズパーク」として知られるヤンキースタジアムなら、打撃成績が上がることが期待できる。
後半戦で打率1割3厘と低迷するイチロー
ただ、リオスとバードを獲得する可能性も排除はできない。リオスの今季年俸は1250万ドル(約12億7500万円)で、来季の契約は球団オプションとなっている。球団側が延長を望めば、年俸とバイアウト(買い取り)の権利を含めて1450万ドル(約14億8000万円)で来季も残留させられる。一方、バードは今季年俸800万ドル(約8億1600万円)で、来季も同じ金額での契約を残す。ウィリンハムとほぼ同じ額だが、ヤンキースにふさわしい選手であるかについては懸念があるという。
一方で、ヘイマン氏はイチローについて厳しい見方をしている。「イチローは毎日、プレーするはずではなかった」と指摘。6月下旬にアストロズの機密情報がハッキングされた事件で、ヤンキースが開幕前にイチローのトレードを持ちかけていたことが明らかになったことにも言及している。記事では「イチローは初めからキャッシュマンGMではなく、オーナーシップのチョイスだった」とも触れている。2012年7月に移籍してきたイチローと、同年オフに名門球団が2年契約を結び直した理由には、オーナーサイドの強い希望もあったとされている。
イチローは外野手5番手という立場で開幕を迎えながら、7月に入って完全に定位置を奪取。しかし、レギュラー定着後は調子を落としている。25日(日本時間26日)のブルージェイズ戦で今季1号となる劇的な逆転3ランを放ったものの、後半戦は29打数3安打の打率1割3厘と低迷。27日(同28日)のブルージェイズ戦は相手の先発が左腕のJ・A・ハップのためスタメンから外れ、1点を追う9回2死に代打で登場して左飛に倒れた。肘の負傷で現在はDHに専念しているカルロス・ベルトランも決して調子がいいとは言えないため、ヤンキースは補強を必要不可欠と見ているようだ。
ウィリンハムが加われば、イチローの状況は間違いなく危うくなる。開幕当初のように、出場機会が減ることは避けられないだろう。自らのバットで何度も苦境を脱してきた男は、またしても正念場を迎えることになるかもしれない。