本田「戦い抜く限り、可能性はゼロでない。ミラクルを起こす」

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 大言壮語をしてきた自分自身を最後まで信じ抜く。ともに戦ってきた仲間を信じ抜く。

 コロンビア戦を2日後に控え、イトゥでは最後となるかもしれないトレーニングを終え、FW本田圭佑(ミラン)は奇跡を起こすことだけを見つめていた。

「今、必要なこと? 自分自身を信じて、仲間を信じることじゃないですか。今からみんながスーパーマンになることはできないし、それぞれの個性が180度変わることもない」

 FWとしては個性的な背番号4を背負う男だが、グループリーグ最終戦を前にした心境はシンプルそのものだった。

 ただし、日本が決勝トーナメント進出を果たす条件はシンプルではない。裏カードの状況次第で必要な得点が変わってくる。

 それでも一つ言えるのは、コロンビアに勝つことが大前提ということ。そして本田は、クイアバで日本がコロンビアに勝つことで、約4000km離れたフォルタレザでギリシャがコートジボワールに勝つという、日本に有利となる結果を引き起こすことができるかもしれないと考えている。

「日本が勝てれば、もしかしたらギリシャも勝つのではないかと思っている。それが今の思い。それができれば、その先にすべてが切り開けると思っている」と自分自身に言い聞かせるように話した。

「僕は、ミラクルは信じている者にしか訪れないと思っている。ミラクルには人の評価するミラクルと、自分自身が自負するミラクルがあるが、もし、コロンビア戦でそれを起こせるなら、自他ともに認めるミラクルになると思う」。そう話す姿は、質問に答えながらイメージをクッキリと思い浮かべる作業を併行しているようでもある。

 奇跡を呼び起こすための方法はある。最後まで諦めないことだ。

「戦うことをやめたり、信じることをやめることでその時点で可能性がゼロになる。戦う限り可能性はゼロでない。それが自分自身の考え方です」

 日本を出る前、自身のブログで今回のブラジルW杯は自身のサッカー人生の「集大成」になるという決意を表明した。その意思は米フロリダ州でも、ブラジルに来てからも変わらない。

「当然です。そういうつもりでやっていますから」。きっぱりと言った本田は、オフだったコロンビア戦3日前もグラウンドに出てボール回しをするなど、感覚を確認しながら体を動かし、コンディションを整えたという。日本代表は奇跡を信じてコロンビア戦に挑む。

(取材・文 矢内由美子)