東京都競馬は、東京品川区にある大井競馬場の敷地39万?のほか、同じく東京あきる野市にある129万?など、223万?という広大な土地を所有している。敷地内にショッピングセンターや駐車場の建設といった所有土地の高度利用を進めており、含み資産株としての注目度も高い。

資産インフレ下では当然、株式にも資金が集中するため、株式を多く保有する企業も、含み資産株とみることができる。トヨタグループ株を4億株前後も保有する豊田自動織機や、東京ディズニーランドやディズニーシーの運営母体オリエンタルランドの筆頭株主である京成電鉄も、有望な含み資産株といえる。

超穴株発見!株価100円台の東京機械は、開発中の武蔵小杉の大地主
過去に大相場を形成した代表的な銘柄以外にも、まだ有望な含み資産株は眠っている。たとえば、新聞印刷用の輪転機メーカーである東京機械製作所(東証1部・6335)。まだ含み資産株としての認知度は低いが、実は巨額の含み資産を抱えている。

同社は、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅前に2 万6000?という広大な土地を保有している。武蔵小杉駅は横須賀線や湘南新宿ラインなどJR4路線と、東急線2路線など9路線が乗り入れるメガステーション。東京、新宿、渋谷など主要駅までいずれも15〜20分と利便性が高く、現在は東京・世田谷の二子玉川と並んで大規模再開発が進められている。

マネックス証券が1月に公表した「時価総額以上の賃貸等不動産の含み益を持つ銘柄」という調査報告の中で、東京機械製作所はランキング1位に取り上げられた。不動産の含み益は207億円で、時価総額の3.8倍に上るという(1月15 日時点の株価で計算)。

実はこの東京機械製作所、本業は赤字続きで業績もボロボロ。決算書には「継続企業の前提に関する重要事象」が記載されている。つまり、業績悪化がこれ以上続けば上場廃止に追い込まれる可能性もあるということだ。株価も昨年11 月には一時35 円まで下落した。

ところが、今年の2月半ば以降に株価は急騰し、3月8日には一時172円まで買われた。含み資産という材料が急浮上したことで、短期資金が集中したようだ。

山本さんは、「来年秋には再開発も終わる予定で、地価はまだ上昇過程。同社保有の土地や不動産の含み益は500億円程度、実質BPSも600 円は下らないのではないか」と指摘する。直近で急騰したとはいえ、時価との差はまだ3倍超。まさに含み資産株の超穴株と言っていいだろう。

2015年3月期には、再開発地域の不動産収益によって黒字化する可能性が高いもよう。そうなれば決算書の「継続企業の前提に……」という記載も取れるはずである。



山本伸さん注目の含み資産株20
山本さんの独自調査で浮かび上がってきた、含み資産関連の有望株20銘柄を一挙掲載。いずれも株価が何倍にも化ける可能性を秘めた銘柄ばかりで、「完全保存版」と言っていいだろう。



山本 伸
株式評論家

マネーリサーチ代表。経済情報誌『羅針儀』を主宰。25年以上に及ぶ評論活動で株式相場の裏も表も知り尽くす。2004年の“小泉金融再生株”相場を予言するなど、国策銘柄発掘のプロフェッショナル。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。