しかし、なぜアジアカップの時よりも機能性が低かったのかと言えば、1つには、本田の位置が高すぎた事と、もう1つには、香川がいなかったので本田とポジションチェンジするような選手がいなかった、という事だったと思います。1トップとそのトップ下を前田と本田にした場合には、この2人が同じ高さにいると役割が重なってしまい、また、前線の3枚とダブルボランチの間のスペースで起点となる選手がいなくなってしまう。

従って、特にザックジャパンの「4−2−3−1」は「4−4−2」よりも「4−3−3」に限りなく近いので、その場合には本田はもっと低い位置、つまり、FW的ではなくボランチ的にプレーしないと機能性は生まれてこないと思います。実際、アジアカップの時の本田はそういうプレーをして機能性を生んでいました。

そして、香川がいなかったので本田とポジションチェンジするような選手がいなかった、という事はどういう事かと言えば、要するに、流動性が乏しかった、という事ですよね。ペルーは「4−1−4−1」で、南米選手権を強く意識していた為か、特に攻から守への切り替えが速く、そのすぐに整ってしまう守備を崩すには流動性という事が必要不可欠であったと思うのですが、岡崎、関口、興梠、という選手は本田と役割を入れ替えれられるような選手ではないので、それも機能性を落としていた1つの原因になっていたように思います。

終盤、日本代表はかなり押し込まれて、もし失点していたとしてもおかしくありませんでしたし、もちろん、「3−4−3」が全く機能しなかった前半も、失点していたとしてもおかしくありませんでした。しかし、逆に、日本が得点を取れそうなシーンというのはFKでしかなく、流れの中からチャンスを作ったシーンはあまり無かったので、結果は引き分けでしたが、内容的には負け試合だったかなと思います。

さて、次はまた7日にチェコ戦がありますが、今度は海外組をスタメンに多く揃えてくるでしょうか? そしてその場合にも、再び「3−4−3」を試してくるでしょうか? まあ、どちらにしても、「3−4−3」というシステムは機能させるのが難しいシステムでもあるので、それが1つのオプションとして使えるようになるまでというのは、もう少し時間が必要かなと思いますね。

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