【ドラマの女王】結局”上から目線”な『ありふれた奇跡』。
今回の【ドラマの女王】は、また?と思われるかもしれないが、仲間由紀恵、加瀬亮主演のフジテレビ木曜劇場『ありふれた奇跡』。「子供!」「結婚!」と、外野がうるさすぎて、まったくもって進展しない加奈と翔太の恋(?)。今回は、弱者問題の専門家の意見も交えてこのドラマを考える。
先週の放送ではとうとう「妊娠できない秘密」を、“菩薩さま”八千草薫の静江を含む家族に打ち明ける事にした加奈。あまりのストレートすぎる発言に大ショックな「ドS一家」。それに加え、静江と加奈は、前回静江が“たたきのめした”井川比佐志の四郎の、返り討ちにあう。あーイタタタの見どころ満載だ。
東京大空襲で、一人だけ助かった自分が生きていた証を「孫(翔太)の子供に繋げたい。」という四郎の気持ちも分からないでもないが、そんなに子供が欲しかったら自分がガンバってどっかで作ってくればいいじゃないか。八千草さん相手にまだまだ色気あるぞ、四郎。
「まだセックスもしていない女」の家族に“種ナシ”呼ばわりされて今週もボロボロの翔太。第8話目にしてさした出番も無く、またダメ母ちゃん(キムラ緑子)に5千円あげていた。いっそのこと父・重夫(風間杜夫)と共に女装に走ってみれば?。助手席で「まばたきしない」重松豊が面白すぎる。
いろんな弱者が出てくる『ありふれた奇跡』。もはやどの言葉で誰の心に“ナイフ”がつき刺さるか分からなくなっているが、たまたま第7話を見た弱者問題の専門家で、作家の赤木智弘氏にこのドラマの感想を聞くことが出来た。
赤木です。
そうですね。山田太一の「上から目線」はこのドラマから感じます。
私が弱者問題でちゃんと見なければいけないのは、弱者の側ではなく、「強者」の側だと考えています。
そもそも、弱者を生み出す社会構造を作り、それを支持しているのは、「強者」なのですから、問題はそちらにあるわけです。
そして、山田センセイのドラマも、そうした「強者層」に向けて作られているっぽいですね。
ちなみに、翔太が加奈の家族に「つるし上げられるシーン」は、たまたま先日テレビをつけていたら映っていまして「どうして昼ドラとか、こんなシーンが多いんだろう?」と思っていたのですが、要はこういう「上から目線」を欲する主婦や老人が多いってことですね。昼ドラ見ている層を考えても。
だから、私の問題意識は、作られる方の弱者ではなく、“弱者を生み出し、ドラマという形で、それを消費する側”にあります。
「赤木氏の感想が意味すところ。」
人の欠点が許せず、自前の不祥事は同情で固める“中城家目線”で『ありふれた奇跡』を見れる人は、自分たちの置かれる立場が当たり前と思っている「強者」であり、そして日本で“富裕層”と呼ばれる層に位置し、自信も「勝ち組」の山田太一が書いているこのドラマはどうしようもなく“強者目線”なのである。
自分勝手な「ひ孫が欲しい」という気持ちを前面に押し出す年寄りや、一方的に下流と決めつけた男性を受け入れたくないサラリーマン一家。この辺を丹念に描くあたりがもう上から目線を感じる。
“養子縁組は不安”と悩む子供ができないヒロインが「すて猫」を見て心が揺らぐという陳腐な演出もばかばかしい。養子は決して「すて猫」ではない。ここでも育ててあげる「強者」と行く当てのない「弱者」の関係を見せる。両者は対等、NHK朝ドラ『瞳』を見よ!
なんだかんだ文句をつけながら、毎週食い入るように見てしまう『ありふれた奇跡』。経過を追うだけで何も心にヒットしない同局『トライアングル』のようなドラマに比べると、さすが骨太のドラマ。『ありふれた奇跡』ならぬ自分たちのまわりにある、「ありふれた事実」が、記者を含む弱者の心をボロクソにたたきのめすのである。毎週見るたびに心が傷つき、自虐で“M”な余韻を残す。それが“奇跡”か。
これからも、ドラマの女王にたまに登場してくれるという赤木氏。ライブドア【眼光紙背】という連載に加え「若者を見殺しにする国」という本も出している。
(記者からの忠告)赤木さん、『オーバー30』(TBS)のような、「心にやさしい昼ドラ」もありますよ。
(編集部:クリスタルたまき)
【関連記事】
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先週の放送ではとうとう「妊娠できない秘密」を、“菩薩さま”八千草薫の静江を含む家族に打ち明ける事にした加奈。あまりのストレートすぎる発言に大ショックな「ドS一家」。それに加え、静江と加奈は、前回静江が“たたきのめした”井川比佐志の四郎の、返り討ちにあう。あーイタタタの見どころ満載だ。
「まだセックスもしていない女」の家族に“種ナシ”呼ばわりされて今週もボロボロの翔太。第8話目にしてさした出番も無く、またダメ母ちゃん(キムラ緑子)に5千円あげていた。いっそのこと父・重夫(風間杜夫)と共に女装に走ってみれば?。助手席で「まばたきしない」重松豊が面白すぎる。
いろんな弱者が出てくる『ありふれた奇跡』。もはやどの言葉で誰の心に“ナイフ”がつき刺さるか分からなくなっているが、たまたま第7話を見た弱者問題の専門家で、作家の赤木智弘氏にこのドラマの感想を聞くことが出来た。
赤木です。
そうですね。山田太一の「上から目線」はこのドラマから感じます。
私が弱者問題でちゃんと見なければいけないのは、弱者の側ではなく、「強者」の側だと考えています。
そもそも、弱者を生み出す社会構造を作り、それを支持しているのは、「強者」なのですから、問題はそちらにあるわけです。
そして、山田センセイのドラマも、そうした「強者層」に向けて作られているっぽいですね。
ちなみに、翔太が加奈の家族に「つるし上げられるシーン」は、たまたま先日テレビをつけていたら映っていまして「どうして昼ドラとか、こんなシーンが多いんだろう?」と思っていたのですが、要はこういう「上から目線」を欲する主婦や老人が多いってことですね。昼ドラ見ている層を考えても。
だから、私の問題意識は、作られる方の弱者ではなく、“弱者を生み出し、ドラマという形で、それを消費する側”にあります。
「赤木氏の感想が意味すところ。」
人の欠点が許せず、自前の不祥事は同情で固める“中城家目線”で『ありふれた奇跡』を見れる人は、自分たちの置かれる立場が当たり前と思っている「強者」であり、そして日本で“富裕層”と呼ばれる層に位置し、自信も「勝ち組」の山田太一が書いているこのドラマはどうしようもなく“強者目線”なのである。
自分勝手な「ひ孫が欲しい」という気持ちを前面に押し出す年寄りや、一方的に下流と決めつけた男性を受け入れたくないサラリーマン一家。この辺を丹念に描くあたりがもう上から目線を感じる。
“養子縁組は不安”と悩む子供ができないヒロインが「すて猫」を見て心が揺らぐという陳腐な演出もばかばかしい。養子は決して「すて猫」ではない。ここでも育ててあげる「強者」と行く当てのない「弱者」の関係を見せる。両者は対等、NHK朝ドラ『瞳』を見よ!
なんだかんだ文句をつけながら、毎週食い入るように見てしまう『ありふれた奇跡』。経過を追うだけで何も心にヒットしない同局『トライアングル』のようなドラマに比べると、さすが骨太のドラマ。『ありふれた奇跡』ならぬ自分たちのまわりにある、「ありふれた事実」が、記者を含む弱者の心をボロクソにたたきのめすのである。毎週見るたびに心が傷つき、自虐で“M”な余韻を残す。それが“奇跡”か。
これからも、ドラマの女王にたまに登場してくれるという赤木氏。ライブドア【眼光紙背】という連載に加え「若者を見殺しにする国」という本も出している。
(記者からの忠告)赤木さん、『オーバー30』(TBS)のような、「心にやさしい昼ドラ」もありますよ。
(編集部:クリスタルたまき)
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