「運命など存在しない」「なぜ太っているのですか?」大バズり婚活漫画の作者が語る、耳の痛い言葉に込めた“本当の狙い”<漫画>
しかし、本作は単なる婚活漫画ではありません。婚活を入り口にしながら、仕事や人間関係、人生における意思決定など、誰もが向き合うテーマを描き、多くの読者から「考えさせられる」と支持を集めています。
※本記事は全3回のうちの1本目です。
◆「婚活漫画」を超えた「人生の選択」を描く
――『運命など存在しないので』はSNSでも大きな反響を呼んでいます。
井原タクヤ(以下、井原):SNSでは、どうしてもインパクトの強いページや1コマだけが切り取られて広まることが多いですよね。でも、「作品全体を読んだら印象が変わった」という感想をいただくことは本当に多くて、それはすごくうれしく思っています。
最初は「婚活漫画なのかな」と思って読み始めた方が、「仕事や人生にも通じる話だった」「自分にも思い当たることがあって考えさせられた」と言ってくださるんです。婚活というジャンルを超えて受け取っていただけていることは、この作品を描いていて一番うれしいですね。
――『運命など存在しないので』は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
井原:ヤングマガジン編集部が開催している「Xコンペ」に参加したことがきっかけです。読者の反応によって連載が決まる企画で、だからこそ、多くの人が関心を持ち、議論したくなる題材を選ぶ必要がある。そんな中で婚活をテーマとすることに決めました。
ただ、「婚活を描く」といっても、誰を主人公にするかで作品は大きく変わる。婚活をする当事者を主人公にした作品はすでにたくさんありますし、私自身は恋愛感情そのものよりも、「なぜ人はそう考え、その選択をするのか」という行動や意思決定に興味がありました。そこで、婚活市場を少し離れた場所から相談者を見つめられる存在として、結婚相談所の仲人を主人公にしようと考えたんです。
◆耳の痛いことを真正面から伝える人は珍しい
――主人公の柏木は「結婚はスペックの取引」と断言する合理主義者です。
井原:「自分だったら、どんな仲人に担当してもらいたいだろう」と考えた結果、生まれたのが柏木でした。
もちろん、現実にも率直に意見を伝える仲人の方はいらっしゃいます。ただ、多くは接客業でもありますから、お客様との関係を円滑に保つため、寄り添うスタイルを取る方が一般的です。そういう意味では、柏木のように耳の痛いことまで真正面から伝える仲人は、現実でもかなり珍しいタイプだと思います。
◆「運命」「ガチャ」を理由に思考停止してしまう
――柏木はたびたび「あなたは本当に結婚したいのですか」と問いかけます。この言葉には、どんな思いを込めていますか?
井原:本当に伝えたいのは、「その目的を叶える覚悟がありますか」ということなんです。
何かを本気で叶えたいのであれば、ときには耳の痛い現実とも向き合わなければいけない。そのうえで、自分に必要な行動を選ぶ覚悟があるのかを問いかけています。
だから、このセリフは婚活だけの話ではありません。就職や転職など、人生には「本当にそれを望むなら、行動も変えなければならない」場面がたくさんあります。その意味では、多くの人に当てはまる問いだと思っています。

