小島可奈子「傷跡は確実に残る」犬に顔を噛まれ30針縫う大怪我を負ったその後「1年経った今も、小さな犬すら怖い」
2025年5月に知人宅の犬に口元を噛まれ、30針縫う大怪我を負うアクシデントに見舞われた小島可奈子さん。医師からは「傷跡は確実に残る」と言われるも、怪我の状態は1年で驚くほど回復を遂げました。しかし、犬への恐怖心は、本人が思っていた以上に今も心に刻まれているそうです。
【写真】痛々しい…怪我を公表した当時の写真と、1年経った現在の小島さんの傷跡(全15枚)
「傷跡は確実に残ります」と医師からの宣告
── 昨年5月、知人宅の犬に顔を噛まれ、30針縫う大怪我を負われた小島さん。SNSに投稿された写真では、唇が大きく腫れ、事態の深刻さが伝わってきました。現在、傷跡はどのような状態なのでしょうか。
小島さん:おかげさまで、だいぶ薄くなってきています。今はお化粧をしていれば、周囲の方から驚かれるような状態ではなくなりました。ここまで回復できたのは、怪我をした直後に、相手の方が形成外科の上手な先生を必死に探して、すぐに連れて行ってくださったことが大きかったと思います。初期段階で専門的な処置を受けられたことは、本当にありがたかったです。
今は、美容も医療も技術が進んでいますし、将来的にはもっと傷跡を目立たなくできる方法も出てくるんじゃないかなと、わりと前向きにとらえています。
── 怪我をした顔をSNSで公表するのは、簡単な判断ではなかったと思います。それでも投稿されたのはなぜだったのでしょう。
小島さん:かまれた日は、50歳記念の写真展に向けた撮影の帰り道だったんです。写真展では、私自身が会場に立ってお客さまと直接お会いすることが決まっていました。それなのに、何の予告もなく顔に怪我を負った状態で目の前に現れたら、来てくださる方をすごく驚かせてしまう。隠して憶測を呼ぶよりも、自分から事実を伝えておいたほうがいい。そう判断して投稿に踏み切りました。
スタッフの皆さんが一生懸命つくってくれた写真展を、私の怪我というアクシデントで台無しにしたくないという気持ちも大きかったです。
── 当初「傷跡は確実に残ります」と医師から宣告されたそうですね。人前に出るお仕事への影響も含め、ショックは計り知れないものだったと思います。その現実をどう受け止めましたか。
小島さん:そうですね。やっぱりいちばん最初に先生に聞いたのは、「傷は残りますか?」ということでした。本来なら、毎日鏡を見て落ち込んでいたと思います。
でも当時は、顔の怪我だけに向き合っていられる状況ではありませんでした。実は、ちょうど父を看取っている最中だったんです。病院に通うだけでなく、実家の片づけや父の荷物を整理、いろいろな手続きも山積みでした。自分で会社を経営しているので、仕事上の判断や対応も止められませんし、子育てもある。落ち込む暇もないまま時間が過ぎていったというのが、正直なところです。
知人だからこそ避けたいトラブル
── 知り合い同士で治療費や補償の話をするのは、かなり気をつかう場面だったのではないですか。
小島さん:相手からは謝罪の言葉をたくさんいただきました。ただ、「申し訳ない」という謝罪をずっと聞き続けるのもつらいですし、知り合いとお金のやり取りをするのは、どうしても気をつかいますよね。直接やり取りをしているうちに、悪気のない言葉のあやでお互いが傷ついてしまうかもしれない。だから、早い段階でプロに任せたほうがいいと考えました。
最初は相手の賠償責任保険にお願いしようと、一度、保険担当者とお話ししてみたところ、人前に出る仕事のことなどを考慮してくださってないように感じ不安を覚えました。専門知識を持つ相手に対し、知識のない私が対峙する難しさを感じました。
そんなとき、保険に詳しい友人から「自動車保険の弁護士特約が、怪我の場合にも使えることがある」と聞き、弁護士さんに入っていただくことにしたんです。感情の部分と補償の話を分けられたことで、少し気が楽になりました。
── その方とは今、どのような距離感なのでしょうか。
小島さん:まだ書類の手続きなどがあるので、今はその件に関してのやり取りは控えています。相手に対して何か思うところがあるわけではないんです。想定外の事故ですし、直前まで仲良くご飯を食べていただけですから。知人だからこそ責める気持ちにはなれないし、犬を責めることもできません。
とはいえ、無理に自分を我慢させるのも心がつらい。個人間で抱え込まずにプロを挟むことが、お互いの関係性をこれ以上壊さないために必要な選択だったと思っています。
── 事故の公表後、「近づいた人間側が悪い」という声が届くこともあったそうですね。
小島さん:経営している会社の問い合わせ窓口に連絡が来たり、SNSでも「ワンちゃんが悪く言われてかわいそうです」というコメントをいただいたりしました。もちろん私には犬を悪く言うつもりはこれっぽっちもありません。そう受け取られてしまったことに対して「ごめんなさいね」とお返事をしたこともあります。いろいろな受け止め方があるのはわかります。
ただ、私自身、まだ怖さが残っている状態です。批判のすべてを受け止めようとすると気持ちがもたないため、今は自分の心を守るために、必要以上に周囲の反応は見ないようにしています。
1年経った今も残る、犬への恐怖心
── 事故直後は、父親の看取りと重なり、自分の心のケアができなかったとおっしゃっていました。1年が経った今、犬への怖さは変わりましたか。
小島さん:実は時間が経ってみると、自分が思っていた以上に犬への恐怖心が残っていることに気づきました。散歩しているワンちゃんを見かけると、無意識に遠回りして避けている自分がいて。
この間、沖縄の友人の家を訪ねたときも、「犬がいるよ」とは聞いていたのですが、玄関先で姿を見た瞬間、足がすくんで思わず身体が硬直してしまって。こちらが怯えているのが伝わったのか、犬も警戒するようにものすごく吠えたんです。結局、私は玄関より先に進めず、家に入ることができませんでした。あのとき、小さな犬すら怖くなっていることを実感しました。
心療内科も受診しました。ただ、何もないときにも思い出してパニックになったり、日常生活に影響が出たりする状態ではないので、PTSD(心的外傷後ストレス障害)ではないと説明されました。私のように、犬が目の前にいるときだけ強い恐怖が出るのは「限局性恐怖症」というものらしいんです。日常生活の中でできるだけ犬と関わらないようにするしかない、という説明でした。今はそうして折り合いをつけています。
取材・文:西尾英子 写真:小島可奈子

