Amazonプライム『THEゴールデンコンビ』はなぜヒットしたのか、要因を考察
Amazonプライム・ビデオで10月31日に配信された『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』が大きな話題を呼んでいる。
【別カット】『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』のメインビジュアル
番組が配信されるやいなやSNSではお笑いファンの熱い感想であふれ、出場している芸人を中心にメディアで裏話を明かすなどの“ブースト”もあり、11月前半の話題をさらっていった。
これまでもサブスク配信の番組が芸能界のメインストリームに乗ることはあり、今年だけでも『地面師たち』や『極悪女王』は一大ブームに。多くの芸人がセリフやノリを持ち出すことが当たり前となり、ドラマ視聴はある種必修科目となっていた。
だが、『ゴールデンコンビ』に関してはあくまでもバラエティ番組。なぜここまで人々が語りたくなり、人気を集めるようなコンテンツとなっているのか。
大きな要因となっているのが笑いを極限まで突き詰めた方向性だ。
『ゴールデンコンビ』のルールはシンプル。令和ロマンの高比良くるま、霜降り明星のせいや、チョコレートプラネットの長田庄平ら人気芸人たちが誰かを指名して即席のコンビを組み、様々なシチュエーションでショートコントを披露する。ステージごとに最も面白くないコンビが脱落していき、最後に残った一組が真のゴールデンコンビとなる。
番組全体として、スタジオの豪華さや小道具の豊富さなど、潤沢な製作費があることを感じ取ることができるが、そこがポイントとなっているわけではない。番組は、あくまでも芸人たちがお笑いと向き合う上で最も適した環境を用意したに過ぎず、芸人とそのネタからピントがずれることは一度もなかった。
ショートコントの中身で言えば、即興での対応力が求められるため、同じ賞レースでも例えば『M-1グランプリ』や『キングオブコント』のような面白さを期待していると肩透かしを食らうかもしれない。しかし、半日近い収録時間ともされる極限状況の中で生み出される笑いだからこそ、視聴者は心を動かされ、大爆笑へと誘われる。
特にこの形式は、そもそもお笑いが大好きで普段からテレビや劇場との距離も近い“コア層”に深く突き刺さった。次々とショートコントを披露しないといけないルール上、その場にうまくハマらないこともある。だからこそ、芸人としての生き様を表情から垣間見ることができているようで、ファンとしてたまらない場面がいくつもあった。そんな中でも、くるまやロングコートダディの堂前透は明らかに苦しい無茶振りに誘い込まれた時でさえ、華麗に切り返す大喜利力と即興でのコント力で笑いを作り出し、人を笑わせるという職業に改めて尊敬の念を抱かずにはいらない。
もちろん、この2人に限らず大半のメンバーに見せ場があり、芸人が損をするような番組になっていないというのも番組成功の要因のひとつ。ネプチューンの堀内健に指名され、自由奔放なボケに振り回されるニューヨークの屋敷裕政を思わず応援し、終わる頃には好きになってしまった人も多いのではないだろうか。最初はコア層にリーチする番組コンセプトだったが、徐々にライト層にも波及していった印象で、「この人のこんなところが見られた」、「この芸人さんこんなにすごいんだ」という感情がそのまま番組への満足感につながっているように感じた。
配信バラエティ番組成功の“先駆者”として、Netflix配信の『トークサバイバー』がある。この番組もトーク主体だが、お金はドラマ部分に割き、芸人たちを信頼してトークパートに余分な手は入れていない。ストロングスタイルのお笑い番組だからこそ、芸人たちがオファーを恐れながらもどこか憧れてしまう番組としてシーズン3まで続いている。
『ゴールデンコンビ』はまだシーズン1が配信されたばかりだが、『トークサバイバー』以上に芸人たちのキャラクターをはっきりと映す番組という基軸をしっかりと打ち出した。もしかすると今後は、すでにテレビやお茶の間でも大人気の芸人たちも出演を渇望することになるかもしれない。『ゴールデンコンビ』はそれほどまでに魅力的な番組で、配信バラエティ作品界隈に新たな衝撃をもたらしている。
【あわせて読む】『トークサバイバー!』大ヒットの佐久間宣行が語る千鳥のすごさ「能力はもちろんですが、一番は」
【別カット】『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』のメインビジュアル
番組が配信されるやいなやSNSではお笑いファンの熱い感想であふれ、出場している芸人を中心にメディアで裏話を明かすなどの“ブースト”もあり、11月前半の話題をさらっていった。
だが、『ゴールデンコンビ』に関してはあくまでもバラエティ番組。なぜここまで人々が語りたくなり、人気を集めるようなコンテンツとなっているのか。
大きな要因となっているのが笑いを極限まで突き詰めた方向性だ。
『ゴールデンコンビ』のルールはシンプル。令和ロマンの高比良くるま、霜降り明星のせいや、チョコレートプラネットの長田庄平ら人気芸人たちが誰かを指名して即席のコンビを組み、様々なシチュエーションでショートコントを披露する。ステージごとに最も面白くないコンビが脱落していき、最後に残った一組が真のゴールデンコンビとなる。
番組全体として、スタジオの豪華さや小道具の豊富さなど、潤沢な製作費があることを感じ取ることができるが、そこがポイントとなっているわけではない。番組は、あくまでも芸人たちがお笑いと向き合う上で最も適した環境を用意したに過ぎず、芸人とそのネタからピントがずれることは一度もなかった。
ショートコントの中身で言えば、即興での対応力が求められるため、同じ賞レースでも例えば『M-1グランプリ』や『キングオブコント』のような面白さを期待していると肩透かしを食らうかもしれない。しかし、半日近い収録時間ともされる極限状況の中で生み出される笑いだからこそ、視聴者は心を動かされ、大爆笑へと誘われる。
特にこの形式は、そもそもお笑いが大好きで普段からテレビや劇場との距離も近い“コア層”に深く突き刺さった。次々とショートコントを披露しないといけないルール上、その場にうまくハマらないこともある。だからこそ、芸人としての生き様を表情から垣間見ることができているようで、ファンとしてたまらない場面がいくつもあった。そんな中でも、くるまやロングコートダディの堂前透は明らかに苦しい無茶振りに誘い込まれた時でさえ、華麗に切り返す大喜利力と即興でのコント力で笑いを作り出し、人を笑わせるという職業に改めて尊敬の念を抱かずにはいらない。
もちろん、この2人に限らず大半のメンバーに見せ場があり、芸人が損をするような番組になっていないというのも番組成功の要因のひとつ。ネプチューンの堀内健に指名され、自由奔放なボケに振り回されるニューヨークの屋敷裕政を思わず応援し、終わる頃には好きになってしまった人も多いのではないだろうか。最初はコア層にリーチする番組コンセプトだったが、徐々にライト層にも波及していった印象で、「この人のこんなところが見られた」、「この芸人さんこんなにすごいんだ」という感情がそのまま番組への満足感につながっているように感じた。
配信バラエティ番組成功の“先駆者”として、Netflix配信の『トークサバイバー』がある。この番組もトーク主体だが、お金はドラマ部分に割き、芸人たちを信頼してトークパートに余分な手は入れていない。ストロングスタイルのお笑い番組だからこそ、芸人たちがオファーを恐れながらもどこか憧れてしまう番組としてシーズン3まで続いている。
『ゴールデンコンビ』はまだシーズン1が配信されたばかりだが、『トークサバイバー』以上に芸人たちのキャラクターをはっきりと映す番組という基軸をしっかりと打ち出した。もしかすると今後は、すでにテレビやお茶の間でも大人気の芸人たちも出演を渇望することになるかもしれない。『ゴールデンコンビ』はそれほどまでに魅力的な番組で、配信バラエティ作品界隈に新たな衝撃をもたらしている。
【あわせて読む】『トークサバイバー!』大ヒットの佐久間宣行が語る千鳥のすごさ「能力はもちろんですが、一番は」