山内日菜子【写真:Getty Images】

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伊藤園レディス

 女子ゴルフの国内ツアー、伊藤園レディスは10日に千葉・グレートアイランドC(6769ヤード、パー72)で最終ラウンドが行われ、一時は7人がトップに並ぶ大混戦の中、4位から出た山内日菜子(ライク)が終盤の劇的な一打で抜け出し、逆転で今季待望の初勝利。昨年のアクサレディス以来となるツアー通算2勝目を飾った。来季シード落ちの危機に直面しながらの劇的Vに、表彰式後のスピーチではQT(クォリファイングトーナメント)の準備のために宮崎に帰る予定だったことを打ち明け「最終戦の出場で宮崎に帰ることができて嬉しい」と涙を浮かべた。

 第2ラウンドを終えて通算10アンダーの首位は安田祐香、全美貞、辻梨恵の3人。安田は最終ラウンドの出だしの1番パー4でバーディーと幸先のいい滑り出しを見せたが、他の選手たちも負けていなかった。まず、序盤に魅せたのは青木瀬令奈。前半だけで6バーディーと猛チャージで、一時首位に立った。1打差4位から出た山内や穴井詩も順調にスコアを伸ばし、3打差7位から出た森田遥が12番でこの日4個目のバーディーを奪うと、その時点で申ジエを含む7人が通算11アンダーで並ぶ展開となった。

 一つのミスが“命取り”となるサバイバル。その中でまず山内が15番パー5のバーディーで抜け出すと、最終組の安田も15番の3打目を“ベタピン”でバーディー。そこに昨季まで2年連続年間女王の山下美夢有も13、15番でスコアを伸ばして1打差にまで迫った。

 最終組の一つ前を回る山内は17番パー3で1オンはならず長めの距離が残ったが、グリーンエッジから狙ったボールはグリーンを転がり、そのままカップに吸い込まれてバーディー。最終18番もパーで上がり、後続を待った。追う安田は同じ17番で長めのバーディーパットを強気に狙ったが、わずかにカップをそれてスコアを伸ばせず。18番の第2打もピンを狙って強気に攻めたが、池に落ちて万事休す。待機していた山内は喜びを爆発させた。

 山内は今季、ゴルフ5レディスで2位に入っているものの、予選落ち16回と苦しい戦いを続けてきた。メルセデス・ランキング73位とシード落ちの危機に直面していたが、この優勝で来季のツアー出場権の切符もつかみとった。表彰式後のスピーチでは最初は笑顔だったものの、関係各所やギャラリーへの感謝などを伝え終わると「オフの過ごし方とか、これからの動きが全然違う動きになって……QTの準備を……」と話すと、涙を浮かべて言葉を詰まらせた。

「QTの準備のために宮崎に(来週の大王製紙)エリエール(レディス)が終わったら帰る予定だったんですけど、これで無事(最終戦の)リコーカップの出場で宮崎に帰れることが本当にうれしいです。来年もレギュラーツアーでたくさん優勝できるように頑張りたいと思います。本当にありがとうございます」と話し終えると、最後は笑顔が戻った。

(THE ANSWER編集部)