バーチャルユーチューバー(Vチューバー)の動画制作を巡り、下請け業者に無償でやり直させていたとして、公正取引委員会は25日、下請法違反で、東証グロース上場の「カバー」(東京)に再発防止や、やり直しで生じた費用を払うことなどを勧告した。

 同社は、女性Vチューバーグループ「ホロライブ」らが所属する「ホロライブプロダクション」の運営などを手掛けている。

 公取委によると、2022年4月〜23年12月、動画制作を委託していたフリーランス19人を含む23事業者に対し、動画を受領後、発注時に定めた仕様では必要かどうか分からない修正を計243回無償でやらせていた。

 また、29事業者に動画制作をやり直しさせた際、期日までに代金を支払っていなかった。支払いの遅れは最長で約1年7カ月に及び、遅延利息は計約115万円に上るという。

 同社は既に発注時に定めた代金と遅延利息を支払い、公取委は再発防止を指導した。

 個人として働くフリーランスを巡っては、仕事内容の明示などを発注事業者に義務付ける新法が11月に施行される。公取委は4月からクリエイター支援に向けた実態調査を実施しており、年内に結果を公表する予定。

 カバーは「コンプライアンスの強化と再発防止に向け、改善を図る」などとコメントしている。