中国のシャインマスカット

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中国国営の中央テレビ(CCTV)はこのほど、同国内のシャインマスカット市場で偽装が横行していると報じた。

同局は、中国国内のブドウの品種であれば価格は1斤(500グラム)6〜10元(125〜210円)程度だが、日本から輸入したシャインマスカットとなると1斤66元(約1400円)にもなり、10倍ほどの値段の差がつくとした。そして、関係者の話として、シャインマスカットの価格が高い理由は輸送にかかるコストや、中国産のブドウよりもみずみずしく質が高いからだと説明した。

その上で、「記者が市場で輸入ものとされるシャインマスカットを購入したところ、外装にはっきりと日本語が記されていた」とし、最も目立つ文字として「香印」や「晴王」の文字を挙げた(※「香印」は主に中国語繁体字圏でシャインマスカットを指す言葉として使われており、日本で一般的な名称ではない)。一方で、これらのシャインマスカットは多くが中国産である可能性が高いとした。

同局は、中国税関総署が今年9月2日に発表した「リスト」を基に、「日本が現在、中国に輸出している果物はリンゴとナシのみとなっている」と指摘。「つまり、市場に出回っている『日本から輸入したブドウ』なるものは、本当の輸入品であるはずがない」とした。そして、業界関係者の話として、「日本語や外国語が書かれた外装に、国産のブドウを入れて輸入品として販売する状況は、卸売や小売の段階で普遍的に存在している」と伝えた。中国のシャインマスカット

同局記者が包装箱を販売している店を取材したところ、「晴王」の文字が入ったギフト箱だけで3種類のデザインがあり、箱には漢字のほかカタカナやひらがななどの日本語が記されていた(※「すばらしいブドウの味」など日本語の宣伝文句としてやや違和感のあるものも)。箱は一つ数元(1元=約20円)程度で購入できるという。

また、商品本体に貼られるラベル(シール)も重要な標識の一つであるが、ECサイト上には「バレンシアオレンジ」や「グラニースミス」など輸入果物ブランドのラベルを堂々と販売している店があるといい、同局によると、上海市宝山区のある果物店ではこうしたラベルを大量に購入して一般品のバナナを「ブランドもの」として50〜300%増しの価格で販売していたという。

中国のネットユーザーからは「海外品を崇拝する人間は多いからな」「中国人は中国人をだましません(棒)」「貧乏人は買わない。だまされるのは金持ちだけ」「貧乏人はだまさないシリーズの最新作だな」「管理監督部門は何をしている?」「消費者をだますやつには厳罰を」「実際(中国産は)色も香りも味も日本のものとはまるで違う」「今のシャインマスカットは味が変わった。以前、すごく高かった時に友人にもらって食べたらめちゃめちゃ驚いた。今は安くなったけど果肉がぐにゃぐにゃしてマズい」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/北田)