無情な岡田体制の終幕から待ったなし 新体制下の阪神がFA争奪戦も予想される大山悠輔を「引き留めるべき理由」

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4番として猛虎打線を牽引してきた大山。ファンからも愛される背番号3の去就は注目を集める。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 秋晴れの甲子園がため息に包まれた。

 10月13日に本拠地・甲子園で行われたセ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージ第2戦で、阪神はDeNAに3-10で大敗。昨季に日本一となり、今季限りでの勇退が決まっている岡田彰布監督との2年間は、寂しさをぬぐえない形での幕切れとなった。

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 初回に3番の森下翔太のソロ本塁打で先制しながらも、2回に連打で4点失点。あっさりと逆転を許した阪神は、その後もDeNAの強打を封じ込められずに苦闘。9回に原口文仁のソロ本塁打で一矢報いたが、大差を埋めるまでには至らなかった。

 試合中継に映った岡田監督の表情は、いつも以上に険しかった。その顔つきは負ければ終わりの一戦で一方的にやられた試合展開の悪さを物語っていた。

 日本一から一転して苦心が続いた今季の阪神。レギュラーシーズンは広島の失速もあって2位に滑り込んだが、“アレンパ”は逃した。そうした中で捲土重来を期する来季に向けては、藤川球児氏の就任が決定的となっている。現役時代に絶対的守護神としてカリスマ的な人気を誇った球団OBの手腕は大いに話題となる。

 そんな藤川氏のチーム作りをサポートする上でも、球団に待ったなしで対応を求められるのが、FA組の引き留めだ。今オフの阪神は投打の主力の多くがFAイヤーを迎えるため、交渉次第で新体制の行く末も変わってくる。

 とりわけ注目を集めているのは、昨オフに1億5000万円増の2億8000万円で単年契約を交わしていた大山悠輔だ。

 すでに国内FA権を取得している主砲だが、今季は下半身のコンディション不良も影響して不振の時期も長く、打率1割台に低迷した6月には2軍での調整時期もあった。成績不振による2軍での調整は、1軍に定着し始めた2018年以来の経験だった。

 屈辱的なスランプは味わった。それでも大山は最終的に7年連続で2桁本塁打をマークし、リーグ2位の得点圏打率.354の勝負強さも発揮。守備面でも巧みなグラブ捌きに定評があり、今季も守備率.994と上々だ。また、常に全力疾走を怠らない姿勢でもチームへの影響力は大きく、藤川新体制下でも必要不可欠となる。ゆえに全力で引き留めるべきだろう。

 仮に権利を行使すれば、複数球団による争奪戦も予想される。いまや希少となった本塁打を打てる右のスラッガーは、打線の活発化を求めるチームにとっては是が非でも欲しい人材ではある。

 8年間過ごした球団への愛着か。はたまた、野球人として欲求か。いずれにしても、今オフに下される背番号3の決断が阪神の今後を左右するのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]