「もう競馬の世界には」…藤田菜七子の父親が明かした「娘のこれから」と「根本康広調教師と話したこと」

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「預けて、お任せした以上は…」

今月11日、JRAの藤田菜七子騎手(27歳)が引退した。

藤田は競馬学校の騎手過程を卒業後、16年ぶりに誕生したJRA女性ジョッキーとして注目を集め、「菜七子フィーバー」を巻き起こした。3年目の2018年にはJRA女性最多勝利記録を樹立、その翌19年にはコパノキッキングでJRA女性騎手初の平地重賞(カペラステークス)勝利するなど、数々の記録を更新してきた。

ところが、9日付の「文春オンライン」で、2023年4月までに調整ルーム内で複数回、藤田のスマートフォンの不適切利用があったことが報じられると、その内容を認めて突如引退を表明。

競馬界に新しい風を吹き込んだ彼女の身に、一体何が起きたのか――。

前編記事『藤田菜七子の父親が語る…引退直前に「娘から送られてきたLINE」と「電撃引退への本音」』につづいて、藤田の父親が明かした心の内を紹介する。

――(菜七子さんが)こういった厳しい立場になっても、そのように見守ることに徹することができる親御さんは多くないと思いますが。

「うちは何もできないですからね。私は競馬関係のことは全くわからないですし、競馬界のルールがありますから。我々素人が口出ししたって、それはもう。預けて、お任せした以上はもう一貫して…競馬学校の時代からですね。だから最初からうちはもうメディアに出ませんと…取材もほぼ受けていないと思います」

競馬や馬を嫌いになってほしくない」

藤田家が全幅の信頼を寄せてきた根本康広調教師は、報道陣の取材に対し、次のように語っていた。

「引退届は私の万年筆で大泣きしながら書いていた。本当はまだ辞めたくないと思う。菜七子とは娘のように接してきた。俺は死ぬまで、泣きながら菜七子が引退届を書いていた姿を忘れない」

愛弟子との突然の別れを惜しむ師匠の根本調教師に対し、父親は絞り出すように、感謝の言葉を述べた。

――根本調教師ともお話はされましたか?

「昨日電話で少しお話をしました。『競馬の世界に帰ってくることはないかもしれないけど競馬や馬を嫌いになってほしくない、いつかは子供たちに乗馬を教えられたら…』と、そういうお話を…」

「先生には感謝しかない」

――先生の親心ですね。

「菜七子は“入厩”していて、うちにはほとんど帰ってきませんので。私よりも父親に近い存在だと思います」

――根本調教師には感謝のお気持ちですか。

「本当にもう、うちは何もやらずに、ずっとお預けしたままなので先生には感謝しかないです。代弁してくれたというか、感謝していますね。逃げたんじゃないよって」

取材中、父親としての本音が滲み出る瞬間もあった。

――娘を案じる父親として、お気持ちは…。

「(スポーツ紙の)記事には、“(菜七子が)両親に相談した”とありましたが、そんなこともなかったんです。一言『やめたよ』と連絡がきました。LINEですかね、妻あてに。『やめたよ』と…これ以上はごめんなさいね」

「家に戻ってきたら、受け止める」

――菜七子さんはまだ27歳です。家に戻ってこられたときは。

「そうですね、受け止めて。辞め方が悪かったので、競馬にはもう関わることはできないかな」

“勝てる女性騎手”のパイオニアとなった藤田の登場により、男社会だった競馬界には少しずつ変化が生まれてきた。2021年には藤田以来のJRA女性騎手として永島まなみや古川奈穂がデビュー。厩舎には女性厩務員の姿も珍しくなくなった。

昨年7月に結婚を発表した後も、「現役を続けたい」と意気込みを見せていた藤田。その人柄は真面目で、礼儀正しいと誰もが口を揃えた。

競馬界を大いに盛り上げた女性ジョッキーの突然の引退劇。まさかこのような形でターフを去ることになるとは思いもしなかったが、JRA通算166勝という彼女の残した実績が消え去ることはない。

【詳しくはこちら】『藤田菜七子の父親が語る…引退直前に「娘から送られてきたLINE」と「電撃引退への本音」』

藤田菜七子の父親が語る…引退直前に「娘から送られてきたLINE」と「電撃引退への本音」