国民民主党の玉木雄一郎代表。党首討論会での発言が波紋を広げている(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

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国民民主党の玉木雄一郎代表が2024年10月12日、日本記者クラブで行われた衆院選(15日公示、27日投開票)に向けた党首討論会で発言した「尊厳死の法制化」に関する内容が波紋を呼んでいる。

玉木氏は自身のXでも釈明するなど、対応に追われている。

高齢者医療、特に終末期医療のですね、見直しにも踏み込みました」

党首討論会では、自民党新総裁の石破茂首相をはじめとする与野党7党首が出席し議論が行われた。

波紋を広げているのは、玉木氏による「尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直しについて」の主張だ。

 

玉木氏は「社会保障の保険料を下げるためにはですね、我々は、高齢者医療、特に終末期医療のですね、見直しにも踏み込みました。尊厳死の法制化も含めて」と述べ、「こういったことも含めて、医療給付を抑えて、若い人の社会保険料給付を抑えることが、消費を活性化して、次の好循環と賃金上昇を促すと思っている」と語っていた。

「短い時間で説明することの難しさを痛感しました」

人の生死に関わるデリケートなテーマである「尊厳死」をめぐっては、さまざまな議論が展開されている。こうした中、尊厳死について玉木氏が社会保険料と関連付けて論じたことで、SNSでは批判の声も相次いだ。

玉木氏は討論会を終えた12日夜、自らのXを通じて「日本記者クラブで、尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直しについて言及したところ、医療費削減のために高齢者の治療を放棄するのかなどのご指摘・ご批判をいただきましたが、尊厳死の法制化は医療費削減のためにやるものではありません」と釈明した。

尊厳死について「本人の自己決定権の問題なので、重点政策の中でも、社会保険料削減の項目ではなく、あえて、人づくりの項目に位置付けています」と説明した。

批判の声が寄せられたことについては、「今日は1分間の中ですべて説明しなくてはならなかったので雑な説明になったことはお詫びします。短い時間で説明することの難しさを痛感しました」とし、「繰り返し申し上げますが、尊厳死は自己決定権の問題として捉えています」と主張している。

「社会保険料負担を減らすために尊厳死を認めようということではない」

玉木氏はこれまでも、尊厳死に関する見解を表明している。

9月20日に行われた重点政策発表会見では、「尊厳死の法制化等を含めた終末期医療の見直しについても、我々は取り組みたいと思います」とした。

「結果として、医療費の削減、社会保険料の負担軽減につながると思います」とするも、「ただ、社会保険料負担を減らすために尊厳死を認めようということではなくてですね」と主張。

「我々があえてここ(人づくりの項目)に書いたのは、(尊厳死は)『人の生き方』、『人生のしまい方』......どのように最期、親なり、おじいちゃん、おばあちゃんなりを送るのかという、『生き方』に関わるところでありますので」と説明した。

その上で、「いわゆるACPと言われる、アドバンス・ケア・プランニング(人生の最終段階で受ける医療やケアなどについて、患者本人と家族などの身近な人、医療従事者などが事前に繰り返し話し合う取り組みのこと)ですね。そういった、家族会議のようなものをしっかりと位置付けて法制化もし、人生の最後の迎え方についての見直しを行っていくということをここに掲げさせていただきました」としていた。