日本人投手の重圧は「理解できない」ダルビッシュ有との“珠玉の投手戦”を制した山本由伸をロバーツ監督も激賞「彼らは日本を背負っている」

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打ち込まれた第2戦から見事に修正した山本(左)をロバーツ監督(右)は激賞した。(C)Getty Images

 文字通りの快投だった。

 現地時間10月11日、本拠地で迎えたパドレスとのナショナル・リーグ地区シリーズ第5戦にドジャースの山本由伸が先発登板。5回(63球)を投げ、被安打2、無失点と好投。チームも2-0で勝利してリーグ優勝決定戦に駒を進めた。

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 負けた方がポストシーズンから姿を消す。まさしく“デッドオアアライブ”の一戦で、山本は先発登板の大役を任された。今シリーズ第2戦で強打のパドレス打線に捕まり、3回、被安打5、5失点と不本意な投球をしていただけに、抜擢にはドジャース首脳陣の期待の大きさが伺えた。

 そして、背番号18は首脳陣の“信頼”に応えた。初回を三者凡退で上々の立ち上がりを見せると、1死一、二塁のピンチを招いた3回には、パドレス打線の核となるフェルナンド・タティスJr.を三塁への併殺打に仕留めて窮地を脱した。

 試合展開が一気に傾く可能性があった局面をゼロで抑えた。試合に向けて「配球の面もすごく何度もミーティングを重ねて確認しましたし、もちろん技術のところもたくさん調整」したという山本はその後もピシャリ。強打のパドレス打線に付け入る隙を与えず、球場を熱狂させた。

 相手先発だったダルビッシュ有との珠玉の投手戦で異彩を放った25歳。昨オフに12年3億2500万ドル(約465億円)の超巨額契約を締結した価値を証明したと言えよう。

 そんな圧巻の投球には、指揮官も脱帽する。試合後のシャンパンファイト後に米スポーツ専門局『FOX Sports』の中継番組にゲスト出演したデーブ・ロバーツ監督は、「誰も彼にかかっている期待やプレッシャーの大きさは理解できないと思う。彼らは日本という国を背負って戦っている」と強調。そして、背番号18の見せた胆力を絶賛した。

「その点はユウ・ダルビッシュもそうだ。彼らは皆、日本を背負っている。今日のヨシは初球の97マイルから集中していることが分かった。試合前には彼がどれだけのイニングを投げるかを聞かれていたが、私は自分の目で彼を見てとことん信頼することに決めていた」

 ドジャースをポストシーズンでの生き残りに導いた山本。そんな若き日本人右腕を抜擢するという賭けを制したロバーツの勝負師ぶりもまた見事であった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]