ロケに5ヵ月、300人以上の乱闘シーン!『龍が如く』の武正晴監督が明かす“配信ドラマ隆盛の秘密”
映画『百円の恋』『アンダードッグ』『嘘八百』、Netflixドラマ『全裸監督』など、数々の話題作で監督を務めた武正晴監督が新たに手掛けたAmazonオリジナルのドラマ『龍が如く 〜Beyond the Game〜』が、10月25日よりPrime Videoで世界独占配信される。
本作は株式会社セガの大ヒットゲーム「龍が如く」シリーズに着想を得たオリジネル脚本。主人公の桐生一馬を竹内涼真(31)、桐生と養護施設「ひまわり」で一緒に育ち、のちにライバルとなる兄弟分の錦山彰を賀来賢人(35)が演じる。本作では、桐生と錦山が極道の世界に身を置くことになったところから、それぞれの生き様が1995年と2005年の二つの時間軸を交差させながら描かれる。
キャリアで初となるゲーム原作のドラマ。配信開始まで1ヵ月を切ったタイミングで武監督が、制作にまつわるエピソードや作品への想い、「配信サービス」隆盛の現代における日本映画界の課題や希望などについて語った。
ゲーム原作ならではの難しさ
――ドラマ版『龍が如く 〜Beyond the Game〜』は、大ヒットゲームが原作ということもあり、原作ファンからの期待もかなり大きくプレッシャーもあると思います。配信公開が1ヵ月後に迫って、改めて今のお気持ちを教えてください。
武正晴監督(以下、武監督):制作はちょうど去年のいま頃までやっていました。ロケに5ヵ月、他にも準備期間が3ヵ月ほどあり、合わせると1年くらいかけて撮影しました。企画の立ち上げから考えると約3年間もこの作品と向き合っていたので、終わったばかりの時は素直に「長かったな」って感じました。
テレビではあり得ない大規模の現場
武監督:『龍が如く』は原作のゲームがあって、世界的にも人気がある作品じゃないですか。だから、いろいろと賛否は出てくると思うんですけど、作り手としては原作ファンもそうでない視聴者も良い意味で裏切りたいという思いがあって、サブタイトルの『Beyond the Game』のように、原作を超えた作品にするという考えはみんな共通でしたね。なので、原作の世界観は守りつつ、ゲームとは違う実写としての“リアリズム”をどれだけ入れられるかが、僕たちがやれる仕事だと思っていました。それを面白おかしく観てくれたら嬉しいですね。
――サブタイトルには、そういう意味が込められていたのですね。
武監督:本作に登場する神室町というのは歌舞伎町をモチーフにしていて、1995年と2005年の二つの時代を描くというシナリオです。僕も’80年代に東京に来て、歌舞伎町の街並みの変化というのは直に感じていたので、あの時の記憶をもう一度、『リアル』に映像で再現できるのは、嬉しかった。
――確かに、特報映像を観た時に街並みというのが、かなりリアルに感じました。ネット配信は、やはり莫大な資金力があるからあそこまでのクオリティが出せるんでしょうか?
武監督:その通りです。制作費が何倍もかけられますから。クリエイターとして細かい部分までこだわりを詰め込めるのは、配信の魅力だと思いますね。例えば今回でいうと、ヤクザが300人くらいで乱闘をするシーンがあります。俳優さんに加えスタッフを含めると500〜600人規模。それを実写でできたことで、迫力ある映像になりました。改めて莫大な制作費のすごさを実感しましたね。
日本の映画はだいたい2ヵ月くらいの期間で撮りきっちゃいますけど、今回は1年以上も撮影に時間をかけることができました。メリットも大きい反面、スタッフがどんどん入れ替わっちゃうことは驚きました。「あれ、君、誰だっけ?」みたいなことはよくありましたね(笑)。
有料版『FRIDAY GOLD』では、さらに詳しいドラマ『龍が如く 〜Beyond the Game〜』の裏話や制作における信念、さらに配信サービス隆盛時代における日本映画界への危機感について切り込んでいる。