友人は「通勤定期券」を「プライベート」で使っているそうです。「法的な問題」はないのでしょうか…?

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通勤定期券は定額で何度も利用できますが、プライベートで使用した場合に法的な問題はないのでしょうか。休日など私的な理由で通勤定期券を使用した場合の法的な問題点について解説します。会社の規定や税務上の扱い、万が一のリスクについても説明し、トラブルを避けるための適切な利用方法を提案します。

通勤定期券をプライベートで利用してもよいのか?

仕事がない日に行先の方向が同じ場合、通勤定期券を使用してもよいのか悩むことがあります。定額で支払う定期券は、ひと月に何回使用しても支払う金額は変わりません。プライベートで利用してもよいのでしょうか?
通勤定期券は、給与として支払われるものであるため、定期券が支給されたあとの利用については社員の自由とされています。懲戒処分などの処分対象にならない理由として、以下が挙げられます。
 

・会社に不利益などが生じていないため
・会社から給与として支給されたものであり用途が自由なため
・会社側で休日の利用歴まで把握することが困難であるため

主に、会社側が損害や影響を受けるかどうかが判断基準となるようです。
なお、住所変更があったにもかかわらず、申請を行わず交通費を多く不正に申請した場合は、不当に社員が利益を得ることになるため、返還や懲戒処分の対象となる恐れがあり注意が必要です。会社とのトラブルを避けるためにも、住所変更や通勤の交通手段に変更があった場合は、きちんと届け出て新たな通勤定期券を購入しましょう。
 

通勤定期券の労働基準法上の規定

通勤定期券は、労働基準法上はどのように規定されているのでしょうか。厚生労働省の「通勤手当について」を参照すると、通勤手当は「通勤に要する費用を支弁するために支給される手当であり、「労働の対償」として支払われるものとして、労働基準法上の「賃金」の一部として整理されている。」とあります。
多くの企業で通勤手当が支給されていますが、企業が自由に決めることができるため、支給の内容や金額は企業の契約や規程によってさまざまです。
通勤手当は、利用した公共交通機関の実費で支給され、マイカーであれば距離による基準で支給額が決められることもあり、自動車やバイク通勤者に対する通勤手当の支給方法は、実際に通勤した通勤距離とガソリン代などをもとに計算するのが一般的です。また、労働基準法では、通勤手当の上限額は規定されていません。
 

通勤定期券の税法上の規定

税法上の通勤定期券に関し、どのような規定があるのでしょうか。国税庁「電車・バス通勤者の通勤手当」の資料によると、対象税目は源泉所得税であり、一定の限度額まで非課税となっています。
公共交通機関利用の1ヶ月あたりの非課税限度額となる金額は、15万円です。通勤定期券などの15万円を超えた部分は、課税の対象となります。もっとも経済的な方法で通勤した場合の定期券代などは、たとえ新幹線や特急列車を利用しても非課税の対象と認められます。
通勤定期券については、平成28年度の税制改正で非課税限度額が引き上げられました。公共交通機関の通勤定期券は、最高限度が10万円から15万円に変更となり、交通機関または有料道路の利用のほか、交通用具を利用する場合も、通勤定期券は自家用車に対する支給額と合わせて最高限度が10万円から15万円へ変更されています。
通勤定期券を通勤以外に利用しても、法的な問題はありません。しかし、トラブル防止や税法上の理由からも、企業の支給要件や支給金額の算出方法など、通勤交通費に関する規定を把握しておくことが大切です。
 

通勤定期券のプライベートな使用は法的に問題がない

通勤定期券のプライベートな使用は問題がないものの、通勤の経路や車などの通勤用具については、不正なく申請することが大切です。細かな規定がなく、ある程度は容認されますが、住所を偽る、申請した交通用具が大幅に違うなど、会社が不利益を生じるほどのプライベートな使用はしないように注意しましょう。
 

出典

厚生労働省 通勤手当について
国税庁 電車・バス通勤者の通勤手当
国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー