猫が集まるビルの餌場に虐待を示唆するメモ書き…15歳の少女が保護ボランティアにSOS! 協力者をSNSで呼びかけ猫を保護、経緯を聞いた
「普段から、猫ちゃんが水をかけられたりと虐待を受けていたようです。
『殺すぞ』
このメモ書きが置かれてから、いつも来る猫ちゃんが来ない。
15歳の少女は自分のできる限りのことをしても解決しなく、助けてほしいと私に言いました。」
【写真】無事に保護された2匹の猫たち、里親さんを募集する予定
千葉県内の猫たちが集まるビルの餌場に「殺すぞ」と書かれた紙が置かれていた…15歳の少女からそんなSOSの連絡が入ったと、愛知県尾張旭市で猫の保護活動をしているMIKIMOKOさん(@mikimoko_cats)がInstagramで報告し、話題になりました。
MIKIMOKOさんによると、ビルにいる猫たちは普段から何者かに水をかけられるなど虐待を受けていたとのこと。少女と連絡を取り、千葉県内の協力者を得て無事に猫たちを保護したといいます。投稿には「ともかく無事に保護してくださり、感謝」「15歳の女の子、本当に怖い思いをしたと思います。勇気を出して助けを求めてくれてよかった」「みなさんの頑張りと、猫ちゃんたちが受けた恐怖を思うと涙です」と感謝のコメントが多数寄せられています。
千葉県の少女が愛知県の保護ボランティアに相談 「周りの人に相談しても解決できない」
SOSの連絡が入ったのは、7月中旬。少女は、Instagramで保護猫活動について発信しているMIKIMOKOさんのフォロワーで、MIKIMOKOさんにこんなDM(ダイレクトメッセージ)を送りました。
「3匹の猫ちゃんがいるビルの餌場に、殺すぞと書かれた紙が置かれていました。保護団体や両親、周りの人に相談しても解決できない…頼れるのはMIKIMOKOさんしかいないです」
そんなSOSを連絡してきた少女。詳しい相談内容を尋ねると、驚くような内容でした。
「普段から、猫ちゃんが水をかけられたりと虐待を受けていて。『殺すぞ』というメモ書きが置かれてから、いつも来る猫ちゃんが来ないとのこと。このビルに昔はたくさんの猫ちゃんがいたみたいですが、私が相談を受けた際には3匹のみ。手術済みの三毛の老猫ちゃんと、未手術のキジシロ柄の兄弟2匹の計3匹です。ここのビルにいた人が餌をあげて懐かせていたそうですが、その人が引っ越してビルからいなくなり、それから餌をあげる人がいなくて、少女がお腹を空かせ待っている猫ちゃんたちにご飯を与えるようになったとか。少女が言うに、ある人物が猫ちゃんに水をかけている姿を目撃したことがあり、『殺すぞ』とメモを残したのはその人かもしれないと」
「殺すぞ」というメモ書きは、赤字で殴り書き。怒りが込められているような書き方だったとのこと。餌場のいつもご飯をあげる場所の地面に置かれていたそうです。また「ウンチ誰がとるんだ」とも記載。ご飯をあげているのは少女以外にもいたこともあり、今回のトラブルについて「餌をあげている人たちの中で猫のふんの処理までしていなかったことが原因で起きたのではないか」と、MIKIMOKOさんはいいます。
猫たちに関しては、かつて餌をあげていた人や、猫が集まることを知っていた人が千葉県内の保護団体やNPOに相談していたとのこと。トラブルがあり、今はTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)もされなくなったとか。またビルのオーナーのところにも猫に関する苦情が入っており、オーナー自身もとても悩んでいたとのことです。
千葉県内の協力者をSNSで募り、ビルの猫3匹を保護 「殺すぞ」と脅迫…メモ書きを警察に届け出る
とはいえ、「殺すという脅迫の形や罪なき動物の命を危ぶむような行為をするのではなく、大人としてしっかり向き合い意見を述べ、話し合うべきだと私は思いました」とMIKIMOKOさんは話します。
ただSOSを受けた猫が集まるビルは千葉県内とのこと。愛知県内に住むMIKIMOKOさんは遠すぎてすぐに駆けつけることができず。自身のシェルターにも保護猫をたくさん抱えているので頻繁に足を運べる場所ではないと判断。そこで少女と猫ちゃんを守ってくれる千葉県内の協力者を、Instagramで呼び掛けたところ、4、5人が名乗り出てくれたといいます。
「協力者の方は、いつもこのビルに猫ちゃんが住み着いていることを普段からよく知っていた千葉市民の方々です。名乗り出てくださった方々とLINEのグループを作り情報をすべて共有して動いてもらいました。集まってくれたのは、保護活動をされてる方や団体さんやNPO法人ではなく、お外の猫ちゃんのお世話をされたことがある方、している方、そういった経験はないけど猫ちゃんを大切に思っていて何か協力したいと熱心に思ってくれた一般の方でした。なので、たまたまお外の猫ちゃんをTNRするために持っていた捕獲器を持っているよ、と言ってくださり、それを使用していただいたり、捕獲するためのご飯を持ってきてくださったりなど、できることを精一杯してもらいました」
こうして協力者が現れて、猫の餌場に「殺すぞ」とメモ書きが置いてあったことなどを警察に届け、いなくなっていた猫たちも戻り3匹を保護することができました。
「猫3匹のうちキジシロ兄弟の2匹は、私のシェルターMIKIMOKOで現在も保護している状態です。相当怖い思いをしたのか、もう2カ月以上経ちますが、未だ威嚇や手が出ますし怖がっております。保護した際は真菌というカビの皮膚病も発症しておりましたが今は良くなっています。成猫でもある2匹は人馴れや家慣れの訓練にはかなり時間がかかると見ています。あまり刺激せずに、まずはシェルターの環境や匂いに慣れてもらうように触ることもせずご飯を与え、トイレやケージを黙々と掃除し、2匹より常に低い姿勢で敵意がないことを伝え続けています。今後、この子たちが自分のペースで徐々に人やお家の環境に慣れてくるといいなと思っております。私の思いが少しずつでも伝わってほしいと願いながら、ゆっくりと距離を縮めています。
三毛猫ちゃんは老猫さんで、協力者さまが迎えてくださいましたが、軟便や下血をしていることが判明。病院に連れてったところ、腸内に炎症が起こっているとのことで、お薬を使い治療をし続けている状態。また、エイズを保有しているので発病している可能性もあると診断を受けたそうです。この子は過酷なお外の世界で、不調な身体でずっと生きていたのだなと分かりました。身体も骨張っておりガリガリでした。この三毛猫ちゃんはキジシロ兄弟2匹に比べると人に慣れているみたいですが、まだ威嚇が出てしまっている状態なので、少しずつ環境に慣れ、老後は穏やかに猫生を過ごしていけたらいいねと、協力者さまとお話ししました」
これから、キジシロ兄弟猫2匹は人馴れや家慣れをしてきた際には、ふたりを大切にしてくれる里親さんを募集するそうです。
◇ ◇
保護ボランティア、外猫に「餌をあげるマナー」「避妊手術」を
千葉県内の猫たちが集まるビルの餌場に「殺すぞ」と書かれた紙が置かれていた今回のトラブル。少女からSOSの連絡を受けたMIKIMOKOさんがこう訴えます。
「もともとはビルで猫ちゃんに餌を与える方が現れたことからこのビルの猫ちゃんの歴史は始まっております。餌を一度与えたら、そこからその猫ちゃんたちへの命への責任は始まります。皆様もお外で野良猫を見つけた際、かわいそうでご飯をあげたくなると思いますが、ご飯をあげる前に考えてほしいことがあります。ここであげていいのかどうか、今後お世話をし続けられるかどうか、場所が餌場として許可をもらえているところなのか、この子の命に責任がもてるのかなどなど…。猫ちゃんは餌を一度もらえば、必ずその場所にやってくるようになります。餌を与える場所によっては、そこが危険な場所になる可能性もあることを意識し、一度手を差し伸べたら引き下がることはできない、責任が伴うという認識を持てる方が増えるといいなと思っています。
また、繁殖を抑えるためにも餌を与えている方はその子たちの避妊手術などまで考えてあげていただきたいです。お外で餌を与えるのは、お外で飼っているのと同じことだと思っています。猫ちゃんの繁殖スピードはかなり早いので、耳のカット(サクラ耳)がされてない子をみたら、手術を検討してあげてほしい。そして、どれだけ不満があったとしても、脅迫や虐待で意見することは間違っていますので、罪なき命を傷つけないような方法で話をして解決をはかっていただきたいです。
このビルにはあえて、餌やり禁止ポスターを作り、現地の方に貼っていただきました。餌をあげないでなんて猫たちがかわいそうだという批判もありました。しかしこの場所に猫ちゃんがいることの方が命が危ないので、猫ちゃんたちを守るためのポスターだと思ってもらえたら幸いです。虐待が起こる現場には、猫ちゃんたちを寄せ付けない方法をとるしかありません。猫ちゃんへの虐待案件はとても多いです。お外で猫ちゃんを見た際、温かい目で見守る方があふれる日本になってほしいと願っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)