時代劇はお手の物(C)日刊ゲンダイ

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 口コミ人気がどんどん広がっているようだ。映画「侍タイムスリッパー」。落雷に打たれたことで現代にタイムスリップした武士の姿を描くSF時代劇コメディーで、主演の会津藩士・高坂新左衛門を演じるのは山口馬木也(51=写真)である。

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 8月下旬に公開された時は、たった1館だった。が、すぐにSNSなどで《面白い!》と推す声が拡散され、あっという間に全国120館以上での上映が決定。現在は大手シネコンでも鑑賞することができる。

「『侍タイムスリッパー』の監督は安田純一さんで、今年7月にカナダのモントリオールで開催された『ファンタジア国際映画祭』で観客賞金賞を受賞。満を持して日本で公開されました。1館から全国上映へ。低予算、少人数での制作、口コミで上映館が広がったことなど似通った点が多いことから、この作品を《第2の『カメラを止めるな!』》と呼ぶ人もいる」(配給会社関係者)

 9月23日の祝日に都内で鑑賞したという、あるエンタメ雑誌の編集者は「386席がほぼ満席で、上映後には拍手が起こりました。私が映画館で鑑賞した作品の中で、これまで拍手が起きたのは『カメ止め』だけ。映画愛と時代劇愛にあふれた内容を低予算、少人数で作り上げた。その姿勢に思わず拍手せずにいられなかった映画ファン人が大勢いたんでしょうね。笑って、泣けて、世代を問わず楽しめる。これぞエンタメという内容です」と話す。

 主演の山口は、現代劇よりどちらかというと時代劇でお馴染みのベテラン俳優。NHK大河ドラマは2020年の「麒麟がくる」や、2022年の「鎌倉殿の13人」など4作品に出演している。2003〜2010年は故・藤田まことさん(享年76)が主演を務めた時代劇の連ドラ「剣客商売」に秋山大治郎役で出演していた。

「2006年の舞台版『剣客商売』で初めて山口さんを舞台上で拝見しました。凛々しく、こんなにも侍が似合う人がいるのか、と強く印象に残りました。2013年の舞台『十三人の刺客』では、とにかく殺陣が出演者の中でも群を抜いて美しく、山口さんが舞台上に出てくると場が引き締まったことを覚えています。シェイクスピア作品の舞台にも出演されていて、演技力も折り紙つき」と話すのは芸能ライターのエリザベス松本氏だ。

「侍タイムスリッパー」の高坂新左衛門は、現代にタイムスリップし、京都の撮影所で「斬られ役」として生きていく覚悟を決める。時代劇出演が多く、殺陣はお手の物の山口にまさにぴったりな役柄だ。

「見せ場は殺陣と演技力だけではありません。山口さん、笑いに持っていくテンポと表情が絶妙で、そちらのセンスもあるんですよ。長く藤田まことさんと共演されていましたから、絶妙な間合いや表情も知らず知らずのうちに身につけられたのかも。奇しくも先日、真田広之さんの『SHOGUN 将軍』の受賞があり、日本の時代劇が見直されている。『侍タイムスリッパー』と『将軍』のパワーで今一度、日本の時代劇が活気づくことを願わずにいられません」(前出のエリザベス松本氏)

 とにかく評判がいい「侍タイムスリッパー」。この勢いで上映館はまだまだ広がりそうである。

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 真田広之ばかりが注目を浴びている「将軍 SHOGUN」だが、他の出演者にも要注目だ。●関連記事【もっと読む】「SHOGUN 将軍」は平岳大も凄い! 真田広之の“後継者”になれるか…ハワイ移住4年で掴んだ国際派俳優のチャンス…では、平岳大の魅力に迫っている。