遅寝でも「二度寝しない」目覚まし時間設定のコツ
最適の睡眠時間については諸説ありますが、その人に合った睡眠時間を見つけることが大切です(写真:Ushico/PIXTA)
続けたくても、続かない。健康のため、ダイエットのため、自己研鑽のために、何か新しいことを始めようと試みるものの、長続きしない。そんな経験を持つ方は多いでしょう。
でも、大丈夫です。あきらめる必要はありません。なぜなら、それはただ単に「潜在意識を味方につける」方法をとっていないから。最新の研究データとコーチングの理論を応用し、潜在意識をコントロールすれば、誰でも簡単に習慣を身につけることができます。そして、なりたい理想の自分に変わることができるのです。
コーチングを活用した独創的な手法で企業の人材育成・組織開発のサポートを行う三浦将氏の新刊『改訂新版 自分を変える習慣力』をもとに、仕事や人生を変える習慣化の方法を3回にわたり解説します(今回は3回目)。
成功者は二度寝をしない?
二度寝は、時間的にとても非効率です。それに、二度寝で1日が始まると、この締まらないノリが1日中続いてしまいます。
せっかくの休日がダラダラと進み、ちゃんと楽しんだのかどうかもわからない1日になりがちです。おそらく、成功者に二度寝をしている人は、あまりいないでしょう。
最適の睡眠時間については諸説ありますが、その人に合った睡眠時間を見つけることが大切。
ナポレオンや元英国首相のマーガレット・サッチャーが3時間しか寝なかったという逸話がありますが、アインシュタインは10時間以上寝ていたそうです。
また、大谷翔平選手が10時間睡眠を基本としているのも有名な話です。短い睡眠時間=仕事ができる人、といった根拠のない話に振り回されないことが肝心ですね。
睡眠は、大脳の機能が活発化しているレム睡眠と、休止しているノンレム睡眠によって構成されており、睡眠中はこの2つが周期的に繰り返されています。その1セットが約90分。
眠りが浅いレム睡眠のときに起きると目覚めがいいので、そこに合わせて睡眠時間を設定するといいでしょう。逆に、眠りの深いノンレム睡眠の時に目覚ましが鳴ると、起きるのがつらい状況になり、二度寝の原因ともなります。
基準としては、この1セットである90分の倍数。6時間、7時間30分、9時間。これらの睡眠時間を試して、自分にとって最も目覚めのよい時間を日々の睡眠時間として設定するのがよいとされています。スッキリとした目覚めのよい朝を迎えれば、二度寝などしていられなくなります。
休日の寝溜めがいけない理由
ただ、一定の睡眠時間も大切ですが、起きる時間が一定であることのほうが、生活のリズムを作る上においてさらに大事です。
そのためにも、できるだけ寝る時間を同じ時間に保つようにしましょう。たまたまパターンが狂う日があっても、誤差は1時間以内に抑えることが大切です。
いつも12時に寝て、6時に起きる6時間睡眠を取っている人が、たまたま深夜2時に寝ることになってしまった日があれば、目覚ましは、90分の倍数の4時間30分の睡眠が取れる6時30分にセットするのがよいと思います。
習慣が付いてきたら、寝際にスマホに時間を取られることなく、この90分の倍数のセットを守りながら、生活のリズムを作っていくことができるようになります。
休日の日は、ついつい普段より遅くまで寝ていたい気持ちになります。しかし、つい二度寝をしてしまえば、よい睡眠の習慣にはなりません。
いつもと同じ時間に起きるようにすれば、人生全体が引き締まる、というくらいの気持ちでもって習慣付けしていくと、その後のポジティブな連鎖や波及効果も起こりやすくなります。
さらには、目が覚めたら、すぐにカーテンを開けて、太陽の光をしっかり浴びることもぜひ習慣にしてください。太陽の光を浴びながら散歩などをすれば最高です。
南ヨーロッパでは昔から、シエスタという仮眠の習慣があります。これはなにもラテン系の人たちが、自由気ままな気質だからやっている習慣ではなく、ちゃんとした理に適ったものです。
3時間しか寝ていなかったといわれているナポレオンやサッチャーも、移動の時間などを利用して、15分ほどの仮眠を繰り返していたそうです。
シエスタとは、日本人のイメージする昼寝とは違い、極めて本格的なものです。カーテンを閉めて、部屋を暗くし、ベッドの上で寝ます。私たちはそこまでやらなくてもいいと思いますが、気軽に仮眠を取る習慣を身に付けていくことはできるでしょう。
お昼ご飯を食べた後、眠気を感じる人はたくさんいると思います。これは、食事後、血液が胃袋に総動員されたりするという理由もありますが、サーカセミディアンリズムという、半日の周期でやってくる人間にとってごく自然な眠気のリズムが要因です。
それにより、午後からの仕事の効率がグッと落ちる実感を持っている方は多いと思います。
そんななか、15分〜20分ほどの仮眠を取ることで、午後の仕事の効率が60%以上も上がることがわかっています。午後の仕事の効率が上がることによって、仕事のクオリティも上がり、残業時間も減り、退社後のプライベートの充実も図ることができます。
また、経理など、デスクワークの多い人にとっては、眠気によるケアレスミスを防ぐ効果も見逃せません。
目をつむるだけでも効果的
私が昔働いていたリーバイスという会社のサンフランシスコ本社には、広い仮眠室がありました。今では、アメリカ西海岸を中心に、多くの会社が仮眠室を設けたり、仮眠を奨励したりしています。
仮眠を取ることの価値は、最近では日本のビジネス界にも認知が広まりつつありますが、実際に仮眠をしている人はまだまだ少数派なのではないでしょうか。
一方、仮眠は30分以内に留めましょう。
それ以上取ると、夜に寝られない状態になってしまう可能性があるからです。横になってしまうより、ソファーや車のシートをリクライニングさせて眠るほうが、目覚めやすくなります。
眠れない人は目を閉じるだけでOK
脳が処理する情報の8割が視覚情報と言われています。あまり眠れないという方は、目を閉じて視覚情報をシャットアウトし、数分間リラックスしているだけでも、脳を休ませる効果が上がります。
会社に勤められている方にとって、仕事中にオフィスなどで仮眠を取るということには、まだまだ抵抗を感じられるかもしれません。一方、仮眠の習慣には、あなたの仕事の効率の格段のアップなど、多くのメリットがあります。
「効果が高いのだから、みんながやらないのなら、かえってチャンスだ」くらいに考えて、堂々と自分から始めて、まわりにも勧めたりするのがいいでしょう。
仮眠のしやすい椅子や仮眠グッズなども、世の中に多く出回るようになってきたので、これらをチェックしてみるのもよいと思います。
(三浦 将 : 人材育成・組織開発コンサルタント/エグゼクティブコーチ)