イギリスの非営利NGO「CCDH(デジタル憎悪に対抗するためのセンター)」の調査で、女性政治家を標的とした差別的・脅迫的なコメントの93%をInstagramが無視していることが指摘されました。

Abusing women in politics - Center for Countering Digital Hate | CCDH

https://counterhate.com/research/abusing-women-in-politics/



Instagram ignored 93% of abusive comments toward female politicians: report | CBC News

https://www.cbc.ca/news/women-politicians-online-abuse-1.7298168

CCDHは2024年のアメリカ大統領選挙に立候補する女性政治家数名を対象に調査し、各政治家のInstagramアカウントに寄せられた56万件のコメントを収集しました。CCDHは、性差別や人種差別、殺害およびレイプの脅迫、ルール違反の内容などを含む、特に「悪質」と認められる1000件のコメントをInstagramに通報しました。

CCDHがこれらのコメントを追跡調査した結果、1000件中926件は1週間経過しても放置され、Instagramが何の対応も行っていないことが明らかになりました。

寄せられた暴言の例は「我々は、誰であろうと、黒人が身近にいることを望んではいない」「誰かがお前をドブに捨ててくれればいいのに」といった内容でした。



対象となった政治家は以下の通りです。

◆民主党:カマラ・ハリス副大統領、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員、ジャスミン・クロケット下院議員、ナンシー・ペロシ上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員

◆共和党:マージョリー・テイラー・グリーン下院議員、マリア・エルヴィラ・サラザール下院議員、アンナ・パウリナ・ルナ下院議員、ローレン・ボーバート上院議員、マーシャ・ブラックバーン上院議員

なお、今回男性政治家は調査されませんでした。

CCDHは「街頭演説や政治集会などにおいて、公職に就いて地域社会に奉仕しようとしている女性に対し、暴力的、人種差別的、女性差別的な中傷が浴びせられることは許されません。加害者はすぐに会場から追い出されるでしょう。しかし、Instagramにおいては、加害者はレイプ予告や殺害予告を女性に浴びせ、平然とこのプラットフォームを使い続けることができるのです。オンライン空間が時事問題や社会問題、政治について学び、議論する主要な場となっている今、SNSはその役割が問われています」と述べました。



アメリカでは、SNSなどのプロバイダは第三者が発信する情報について原則として責任を負わないと定める通信品位法230条があるため、プロバイダはユーザーによる他者への暴言に関して広範な免責が認められています。

これに関してCCDHは「1996年に制定された通信品位法230条によって与えられた免責特権は、SNSが存在する以前に制定された法律に基づくものであり、現在では免罪符となってしまっています。その結果、公の場で女性に対する虐待、暴力的な脅迫、ヘイトスピーチが常態化し、民主主義を不安定にするという深刻な結果を招いています。Instagramは、このような暴力的な行為をできなくするようガイドラインを制定し、議員たちはInstagramが女性を保護しきれていないことの責任を追及しなければなりません」と指摘しました。