TBSが急速に“韓国化”しているワケ 「VIVANT」の“大コケ”で下された大号令「グローバル化を急げ」
チェ・ジウがゲスト出演
二宮和也が主演を務めるTBS系連続ドラマ「ブラックペアン2」の視聴率が好調に推移している。第4話をのぞき11%台を維持するなどこの夏放送のドラマの中でダントツの成績を誇っている。ただ、海堂尊の原作小説『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』や2018年に同じ二宮が主演したドラマ「ブラックペアン」を知る視聴者の中には、韓国の俳優陣が出演していることに違和感を持った人もいるかもしれない。原作や前作ドラマにはまったくない設定だからだ。
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この夏の連続ドラマをウォッチングしている放送ライターがこう指摘する。
「『ブラックペアン2』に韓国ドラマ『冬のソナタ』のヒロインを務めたチェ・ジウがゲスト出演するという話は、春ごろから局内外で噂されていました。韓国人研修医役のキム・ムジュンとセットで出演するというのはかなりの“韓国シフト”です。
視聴者からは『チェ・ジウかわいい』『年齢を感じさせない』『懐かしいなぁ』などの好意的な声が上がる一方、韓国語の台詞について『日本のドラマ見ているのに字幕だらけ』『韓国挟み過ぎ』などと苦言を呈する声もネットに寄せられました」
チェ・ジウといえば、TBS開局50年記念事業として2006年1月期に放送された日韓共同製作ドラマ「輪舞曲(ロンド)」に竹野内豊と主演し、平均視聴率15.5%という好成績を残している。
その延長線 のように同局は、今年1月期にドラマ「Eye Love You」を放送。相手の声が聞こえてしまう日本人女性(二階堂ふみ)が、突然現れた韓国人留学生(チェ・ジョンヒョプ)を好きになるという、韓国ドラマのようなファンタジックストーリーで話題となった。
平均世帯視聴率は全10話で5.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とごく並の成績だったが、二階堂と留学生役のユン・テオを演じたジョンヒョプらが出演する有料ファンイベント(東京・渋谷)は、2回で計1700人ものファンを集め興行的な成功を収めた。
「ブラックペアン2」でも9月に二宮が公式としては16年ぶりに韓国を訪問し、ソウルの延世大学でキム・ムジュンとファンミーティングを開催することが発表された。TBSとしてはうれしい“海外進出”となる。
それにしても、なぜTBSは韓国との関係構築に熱心なのだろうか。TBS関係者がこう明かす。
現地のスタジオを見学
「Netflixで配信される韓国ドラマが世界的な人気を集める中、その制作ノウハウに触れたいTBSは、 映画『パラサイト 半地下の家族』やドラマ『愛の不時着』『サイコだけど大丈夫』などの強力なコンテンツを持つ韓国の総合エンターテイメント 企業CJ ENM(シージェイ・イーエヌエム)と、2021年6月に戦略的パートナーシップ協定を結びました。
今年3月にはTBSのプロデューサーやディレクター約40人が韓国に渡り、CJ ENMの最新巨大スタジオを見学して驚嘆したそうです。その後、5月には両社で3本以上の地上波ドラマ、2本の劇場用映画を共同制作することで合意しました。うち1本が来年、TBS地上波のゴールデンタイムで放送される予定。キャストや脚本はすでに進行中で、若年層の視聴を狙った爽やかなストーリーが含まれているようです」
それを聞いて思い出すのは、同局で2022年10月期に放送された本田翼主演の連続ドラマ「君の花になる」。崖っぷちのボーイズグループ「8LOOM(ブルーム)」の寮母(本田)が、「トップアーティストになる」という彼らの夢を抱きとめ一緒に成長していくというストーリーだった。
K-POPグループの合宿生活を彷彿させる設定だが、グループのメンバーを演じた高橋文哉、宮世琉弥、NOA(ノア)らは、実際に「8LOOM」として22年10月に東京・有明アリーナで開催されたK-POPの祭典「KCON 2022 JAPAN」に出演している。この「KCON」の主催が、実はCJ ENMなのだ。
「1話1億円の予算を投入しても世界配信で大コケした『VIVANT』や日曜劇場の『アンチヒーロー』など、TBSの看板ドラマがNetflixで苦戦する状態が続いています。幹部からは『コンテンツのグルーバル化を急げ』という号令が下っていて、社員は世界に通用する番組作りを迫られているようです。
また、赤坂を再開発する赤坂エンタテインメント・シティプロジェクトも影響しているようです。40階建ての高層ビルや劇場、ホールが新たに整備され28年オープン予定。TBSとしては、CJ ENMの協業によるミュージカルやイベントをオープンに合わせて招へいし、世界中から観客を集めたいところでしょう」(前出の放送ライター)
民放各局の中でも収益やコスト意識にとりわけ敏感といわれるTBS。背に腹は代えられないのかもしれない。
デイリー新潮編集部