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ちっちゃくなるの激速すぎる気はしていたんだが…。

水をつけてこするだけで、従来のスポンジでは落とせない茶渋などのがんこな汚れを簡単に落としてくれるメラミンスポンジ。便利でよく使っていますが、汚れを落とす代償なのか、世界で毎月最大1兆5500億本のマイクロプラスチック繊維を放出していたようです。

汚れ落としの代償は大量のマイクロプラ放出

アメリカ化学会が発行している科学誌Environmental Science & Technologyに掲載された研究論文によると、茶渋や水アカ、油などのしつこい汚れを落とす、メラミンスポンジを用いて実験を行なったところ、世界規模に置き換えると1カ月で最大1兆5500億本のマイクロプラスチック繊維が放出されている可能性があるのだとか。

南京の南東大学などの科学者たちは、Amazonで購入した有名ブランドのメラミンスポンジ3種類を、同じ回数と距離になるように金属の表面をこすって、スポンジの摩耗速度と放出されるマイクロプラスチック繊維の量を測定しました。

その結果、平均で1グラムあたり約650万本の繊維が放出されていたそうです。研究チームは、Amazonにおける月次売上から、世界全体で1カ月あたり最大1兆5500億本のマイクロプラスチック繊維が放出されている可能性があると推算しています。

ただ、今回の研究ではAmazonで販売されているメラミンスポンジだけを対象にしているため、実際の量はもっと多いかもしれないと付け加えています。

決め手は密度

研究によると、3種類のスポンジを比較すると、密度の高いサンプルは摩耗が遅く、放出されたマイクロプラスチック繊維の数がより少なかったそうです。

研究者は、マイクロプラスチック繊維の放出を抑えるために、密度と耐久性の高い丈夫なスポンジをつくるようメーカーに提言しています。

また、消費者に対しては、なるべくプラスチックを含まないナチュラル系の製品を選ぶよう推奨しています。さらに、マイクロプラスチック繊維を取り除くためのろ過システムを家庭や下水処理施設に導入するよう提案しています。

環境と生態系への影響

化学薬品を使用せずに、水に濡らすだけでしつこい汚れを落とせるメラミンスポンジは、環境にやさしいと宣伝されていますが、環境中に放出されたマイクロプラスチックは水質を汚染し、川や海にたどり着くと、野生生物の体内に取り込まれ、食物連鎖に入り込む可能性があります。

そうなると、最終的には巡り巡って私たちがマイクロプラスチックが混入した食べ物を口にするかもしれないんですよね…。

地球上や人体のあらゆる場所で見つかっているマイクロプラスチック。できる限り環境や健康に悪いものを使うのは避けたいと思っても、現実は「どっちの環境に悪い方にする?」みたいな感じで、にっちもさっちもいきません。

戸棚の中にあるメラミンスポンジの群れをいったいどうすればいいんだ?

Reference: SciTech Daily