「脂肪肝が起こる原因」を医師が解説 お酒を飲まなくても脂肪肝になることはある?

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みなさんは「脂肪肝」の原因と聞くと、どのようなものを思い浮かべますか? おそらく「お酒の飲みすぎ」と考える方が多いでしょう。しかし、「お酒を飲まなくても発症する脂肪肝がある」ことをご存知でしょうか。おつじ内科クリニックの尾辻先生に詳しい話を伺いました。

※この記事はMedical DOCにて【脂肪肝はアルコールを飲まない人・痩せている人にも発病リスク! 原因や妊娠中に起こる特殊な脂肪肝も医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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監修医師:
尾辻 健太郎(おつじ内科クリニック)

2001年に岐阜大学医学部医学科を卒業後、岐阜大学医学部附属病院、岐阜市民病院、市立長浜病院、JA岐阜厚生連中濃厚生病院などを経て、2020年、岐阜県関市におつじ内科クリニックをオープン、院長となる。一人ひとりの患者さんの症状、訴えに合わせ、よりよい治療、より良い選択を全力で考えた上での医療提供を基本方針としている。

編集部

「脂肪肝」とはなんですか?

尾辻先生

肝臓の細胞に、中性脂肪(トリグリセリド)が過剰に蓄積した状態です。組織学的には、30%程度以上の肝細胞に脂肪滴が認められるものが脂肪肝とされます。

編集部

脂肪肝は何が原因で起こるのですか?

尾辻先生

脂肪肝の原因は、大きく分けるとアルコール性と非アルコール性にとなります。アルコール性の脂肪肝原因は文字通り、大量の飲酒、いわゆる飲み過ぎです。日本では医学的に、日本酒換算で1日平均3合以上を5年間以上飲酒している人を常習飲酒家、同5合以上を10年以上飲酒している人を大酒家と判断します(日本酒一合はビール500ml、ウィスキー・ブランデー60ml、ワイン200ml、焼酎90mlがおおよその換算量になります)。一方で、アルコール以外の原因による脂肪肝もあります。具体的な原因の主なものとしては肥満、糖尿病、高インスリン血症、脂質異常症などが挙げられます。メタボリックシンドロームの方に認められやすいと考えれば、イメージしやすいかもしれません。

編集部

脂肪肝に自覚症状はあるのですか?

尾辻先生

脂肪肝の患者さんに特徴的な自覚症状、身体症状はありませんが、倦怠感、睡眠障害を伴っていることが多いとされています。ただし、倦怠感や睡眠障害に関しては、脂肪肝以外の病気、体調変化でも起こりますので、倦怠感、睡眠障害があるからといって脂肪肝が第一に考えられるということにはならないと思います。脂肪肝が見つかるきっかけとしては、健康診断などの血液検査で肝機能障害を指摘されることが多いでしょう。

編集部

体型やBMIとは関係がないのでしょうか?

尾辻先生

一般的には、「脂肪肝=太っている人」という認識があると思います。当然、肥満は脂肪肝の主要な原因の一つです。しかし、非肥満者(BMI25未満)でも7~20%の方で脂肪肝が認められるとの報告があり、痩せていても生活習慣に問題がある場合などに、脂肪肝になる可能性があります。特に、日本人を含むアジア人は痩せ型から軽度の肥満で脂肪肝になる方が多い傾向にあります。