長岡一也さん(フリーアナウンサー)

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【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆千直レースのキャリアがポイントに

 アイビスサマーダッシュは、ここで重賞初制覇を達成した馬が圧倒的に多い。また、ここでしか重賞を勝っていない馬も多く、それだけ、直線1000米戦の特殊な適性がもとめられていることがわかる。2021年までは1番人気馬が9年連続連対を果たしていたのに、昨年は大きくくずれて波乱となったが、それでもこのレースにふさわしい馬が1、2着を占めていた。そこから今年の参考になりそうなものをつかんでみたい。

 1着馬オールアットワンスは5歳牝馬で9番人気だった。一年前のこのレースで内枠3番、54キロで0秒6差の6着でそれ以来の久々の実践だった。それでも、二年前に51キロでこのレースで重賞初勝利を飾っており、最適の舞台を選んで登場していて55キロでも、十二分に力を出していた。そして2着のトキメキは6歳牝馬、55キロで6番人気だった。5月の同じ舞台の韋駄天Sで54キロで0秒1差の3着、このときの1、2着馬が52キロ、51キロの軽量馬だったことを思えば、千直レースの適性の高さを示す結果だったとも言える。

 この昨年の1、2着馬から見えてくるもの、それは何よりも千直レースのキャリアがあること。同舞台の韋駄天S好走組でそこから直行していたものということになるが、さらに付け加えれば、ここ5年で4勝2着3回と走っている牝馬だという点だろう。斤量面で牡馬より恵まれているし、この舞台での特殊なラップに対応しやすい。

 テンのダッシュは速く前半の3ハロンは32秒台、後半は32秒から33秒台で、勝ちタイムはほとんどが54秒台だから、このスピードに対応できるかどうか、自信や可能性がなければ、ここを目標にすることはできない。

 この10年にひろげて振り返ると、前走が韋駄天Sだったものが11頭連対を果たしていて、そのうち10頭が4着以内の成績だった。特にこの5年は、7頭もの馬が4着以内から直行して3勝2着4回と目立っている。

 今年もこれを受けて検討すると、リピーター組のマウンテンムスメを。二年前は昇級初戦で8着、昨年は韋駄天Sのあと1200米を2戦、しかも札幌からの連闘で12着に終わっていたが、今年の韋駄天Sは藤田騎手が初めて乗り、内めの3枠5番からダッシュを利かせて一気に外ラチ沿いの進路を取り、14番人気をくつがえし2着と好走していた。藤田騎手2度目の騎乗で期待したい。

 当然、前走が初めての芝で初の1000米戦1番人気で勝ったチェイスザドリームも。2番手から抜け出した内容から、スムーズな競馬ができれば有望だ。昨年は1番人気ながら体調不良で後方のままに終わっていたファイアダンサーは、今年は韋駄天S3着から直行で、力を出し切れば得意の舞台だけに面白い存在だ。この牝馬3頭に加えたいのが、函館スプリントS2着で、サマースプリントチャンピオンの可能性のある7歳馬ウイングレイテストだ。

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