三人が同居していたアパート

写真拡大

 アパートの玄関先に、大手通販サイトのロゴが入った箱と袋が置かれている。配達指定日は7月20日。“置き配”だ。しかし注文者は商品を受け取れない。指定日の2日前、7月18日から不在が続いているためだ。

【写真を見る】虐待死の現場となったアパート

 商品が届けられた先は愛知県犬山市内のアパートで、注文者はその一室に住む島崎みなみ容疑者(33)。同市の小学1年、島崎奈桜(なお)さん(7)=当時=が死亡した事件で県警に逮捕された、奈桜さんの母親である。

 7月18日、パート従業員のみなみ容疑者とともに、内縁の夫の会社員、倉田凱(がい)容疑者(32)も逮捕された。

「倉田容疑者が傷害致死容疑、みなみ容疑者は保護責任者遺棄致死の疑いです。両容疑者と奈桜さんの三人は、犬山市内のアパートで同居していました」

三人が同居していたアパート

 と、社会部記者が言う。

「今年の5月24日から25日にかけて、自宅アパートで倉田容疑者が奈桜さんに暴行を加えたとされます。奈桜さんは腹痛や吐き気などを訴えて26日には心肺停止となり、搬送先の病院で亡くなりました。死因は十二指腸裂傷による敗血症性ショックです」

2度も児相に保護されていた

 みなみ容疑者は倉田容疑者による暴行時に自宅にいたうえ、暴行後も適正な措置を取らなかったとされる。

「そればかりか、警察は日常的な虐待があったとみています。手を出すのはおもに倉田容疑者で、みなみ容疑者も止めなかった。保育園や病院からの通報で、2度も児童相談所に一時保護されていたのです」

 奈桜さんの暗転は、一昨年9月ごろに始まった。その経緯をたどる。

「しつけだった」

 奈桜さんは、岐阜県本巣市にあるみなみ容疑者の実家で育った。実家の近隣住人に聞くと、

「みなみちゃんは地元の同級生と結婚して奈桜ちゃんが生まれたんです。一人っ子のみなみちゃんにお孫さんができたから、ご両親はとても喜んでいました。2年ほどで離婚してしまって同級生の家から実家に戻ってきたけれど、保育園に行くようになった奈桜ちゃんは、お母さんかおばあちゃんの送り迎えで、いつも楽しそうに歩いていました」

 シングルマザーとなったみなみ容疑者は岐阜県内で働いていたが、一昨年9月、転機が訪れる。

小学校入学からわずか2カ月で…

 みなみ容疑者が倉田容疑者と出会った経緯などは不明ながら、実家から犬山市へと移り、三人で同居するようになったのだ。先の記者によれば、

「同居開始の2カ月後、倉田容疑者と入浴した奈桜さんが溺れて救急搬送されました。その1カ月後には、奈桜さんの体にあざが目立つようになった。昨年6月までに2度、児相に一時保護されていますが、そのころ奈桜さんは5歳。なにがあったかは自明です」

 児相の聴き取りに、奈桜さんは“パンチされた”などと説明したものの、倉田容疑者の明確な関与は確認されなかった。

「この間、みなみ容疑者は、奈桜さんの頭や体のけがやあざをスマホで撮っていました。それを倉田容疑者に問い質しても“うそをついた。しつけだった”などと一蹴されてばかりだったとはいえ、みなみ容疑者も虐待行為を認識していたわけです。結果、奈桜さんは、今年4月に入った小学校をわずか2カ月で、そしてこの世からも去ることとなりました」

 それでも母親は、自分は捕まらないと考え、通販で買い物していたのだろうか。

「週刊新潮」2024年8月1日号 掲載