大阪市内の名門武闘派ヤクザ「宅見組」本部を「約6億円」で購入した「デベロッパーの狙い」

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昭和を代表する武闘派ヤクザの事務所跡地が生まれ変わろうとしている。

大阪・ミナミの歓楽街のど真ん中に位置していた「宅見組」の旧本部事務所。紆余曲折の末、昨年4月、大阪に本社を置くH社が土地と建物を購入したことは、本誌(’23年8月18・25日合併号)で報じた。4階建ての本部事務所は現在、跡形もなく解体され、更地となっている。

曰(いわ)くつきの場所だけに、その行方には注目が集まっていたが、今年5月、近隣住民がこんな光景を目撃する。

「何人かの作業員が工事をしていたんです。聞くと、地盤調査とのことでした」

実は、H社の購入から1年を経て、新たな購入者が現れていたのだ。関西の民間企業の代表を務め、H社との取引で仲介役を担った久木原日出男氏が明かす。

「4月末に香港の投資家に坪単価670万円、84坪合計で約5億7000万円で売却されました。日本の銀行はコンプラ上の問題で融資ができないそうで投資家は現金で一括購入したそうです」

登記を見ると、たしかに4月30日に香港のデベロッパーに売却されている。代表を務めるR氏は香港でも有名な実業家だ。

「R氏は、’14年に設立された新興不動産F社の代表を務めています。同社は’20年から日本にも本格的に進出しています。すでに銀座や渋谷など東京都心に6棟、大阪市内にも5棟のマンションを所有。大半は分譲で、ほとんど完売しています。R氏は香港でもヤリ手社長として、その名を轟(とどろ)かせています」(全国紙の香港駐在記者)

新たな所有者のもと、名門ヤクザの事務所跡地は、はたして何に生まれ変わるのか。F社の担当者が取材に応じた。

「立地的にも非常に良い場所なので購入を決めました。マンションか、オフィスビルを建設する予定です。まだ設計の段階なので何階建てになるかわかりません。マンションの場合はおそらく外国人向けの民泊にすると思います。弊社は香港やシンガポールの富裕層の顧客を抱えているので、今のところ日本人向けに展開する予定はないですね(笑)。そのほうが高く売れますから」

かつての名門ヤクザの本部は、海外客の新たな拠点になるようだ。

『FRIDAY』2024年7月5・12日号より