悲願のツアー初優勝を挙げ、トロフィーを手に撮影に応じる桑木志帆【写真:Getty Images】

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資生堂レディス最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・資生堂レディスは30日、神奈川・戸塚CC西C(6697ヤード、パー72)で最終日が開催された。1打差2位で出た桑木志帆(大和ハウス工業)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算11アンダー。悲願のツアー初勝利を手にした。5年前の2019年には、同じ大会、同じコースで、同じ岡山市出身の渋野日向子がツアー2勝目を飾っていた。しかも、バッグを担いでいたのは同じキャディー。最終18番パー4の第2打を放ち、グリーンを外した位置も同じだった。

 最終18番。第2打を放つ前に、門田実キャディーは「グリーンを外すなら左」と念押ししていた。桑木も分かっていた。

「木がスタイミーだから、気を付けないと。グリーンの左はプロアマの時に練習して寄る感覚はある。大丈夫」

 放った第2打は現実にグリーン左サイドのラフに外れた。おわん型グリーンでピンは左サイド4.5ヤードに切られていたが、桑木は軽いロブショットで寄せられる感覚をつかんでいた。門田キャディーも「あの場所からは渋野プロもプレーオフで寄せて勝ったから」と確信を持っていた。

 狙い通り、アプローチはピン上1メートルに寄ったが、桑木は「(第3打を)入れにいきました。セーフティーにいったら負けると思っていたので」と振り返った。そして、渋野との一致を口にした。

「実は私がプロアマで回った方が、この大会で日向子ちゃんが優勝した時にプロアマで回った方と同じ方でした。18番のアプローチのことも話していました。門田さんによると、日向子ちゃんが優勝した時も雨だったそうです」

 4学年上の渋野を「日向子ちゃん」と呼ぶのは、同じ岡山市出身で小学生の頃から憧れの先輩だったからだ。地元からも桑木への期待は高い。渋野の全英女子オープンを現場で見届けたRSK山陽放送の桑田茂社長(当時)は、21年4月9日に亡くなる前から「岡山で次に来るのは桑木志帆」と話していた。

 桑木も子どもの頃からつながる渋野との一致を喜び、「門田さんと『状況が全く同じだね』と言っていました」と笑みを浮かべた。先輩はスランプを克服し、今季は海外メジャー2戦でトップ10入り。桑木はまずは2勝目を目指し、その背中を追っていく。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)