三浦知良(C)日刊ゲンダイ

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 国内4部に相当するJFL(日本フットボールリーグ)のアトレチコ鈴鹿(三重県鈴鹿市)が25日、J2横浜FCに所属する「キング・カズ」FW三浦知良(57)を期限付き移籍で獲得したことを発表した。

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 7月2日にチーム練習に合流。14日のJFL第16節ヴェルスパ大分戦から出場できる。

 移籍会見は地元・鈴鹿市ではなく、「サッカーの聖地である国立競技場を選ばせていただいた」(アトレチコ鈴鹿の斉藤浩史オーナー)。会見の席上、三浦カズは「サッカーを辞める選択肢は僕の中にはない」と毅然として答え、続けて「(移籍先を選ぶに当たって)出場時間(を確保できる)ということが一番大きく、アトレチコ鈴鹿を選ぶのがベストだと思った。やる以上は100%(自分の実力を)発揮したい。ベテランらしいプレーよりも、1対1で果敢に仕掛けたり、グラウンドで情熱を燃やしたい」と意気込んだ。

 もっとも、寄る年波はいかんともし難く、ここ数年来は「同年代のオジさん連中と比べるとフィジカルも走力もスタミナもケタ違い。でもプロの世界では草サッカー選手と同じようなレベル」と周辺で言われていた。

 38歳となった2005年、神戸から横浜FCに移籍。6年後の2011年シーズン、リーグ無得点に終わった頃から「横浜FCの監督はクラブオーナーからの『カズを試合に出せ』を無視することができず、カズをどの局面で、どの程度の時間プレーさせるのか、起用法に苦心惨憺している」というのがサッカー界の定説だった。

 カズが出てくると相手チームのベンチからは「横浜FCは(一人少ない)10人になった」の声が聞かれ、運動力が際立って少なくて点取り屋として怖さがなくなった三浦カズは「数的不利をもたらす存在にまで落ちぶれていた」(サッカー関係者)のである。

 それから齢を重ねるごとにパフォーマンスは低下するばかり。ついに2022年1月、実兄の三浦泰年(元日本代表MF)がさい配をふるっていたJFL所属の鈴鹿ポイントゲッターズ(アトレチコ鈴鹿の前身)に期限付き移籍。

 翌2023年1月、横浜FCに戻った後、2月にポルトガル2部オリヴェイレンセに期限付き移籍することになった。

「ポルトガルにしても、オリヴェイレンセというのは、横浜FCの親会社が経営権を握っているクラブ。横浜FCでは戦力外とはいえ、親会社トップのお気に入りの選手として、現役引退などのタイミングはカズ本人の判断に任されている。」(関係者)

 そのオリヴェイレンセでの通算成績は公式戦10試合・無得点。もちろんチームに居残っても出番は減る一方。ゴールの可能性も限りなくゼロに近い。そこで今回のアトレチコ鈴鹿への移籍である。前出関係者がこう言う。

「カズが目指しているのは、少なくとも60歳までプレーし、世界でも類を見ない<還暦プロサッカー選手>になることです。ポルトガルの2部よりも格段にレベルの低いJFLでプレーし、プロ選手最年長出場記録を更新しながら、あわよくば最年長得点記録も更新し、サッカー界の歴史に名を残したいというのが、今回のアトレチコ鈴鹿への移籍の真相です」

 三浦カズは日本代表として国際Aマッチ89試合に出場。レジェンド釜本邦茂氏の79得点に次ぐ歴代2位となる55得点をマーク。93年のJリーグ発足当時からプレーを続ける唯一の現役選手としてJ通算575試合・163得点を挙げている。

 しかし、スーパーレジェンドは周囲の雑音などどこ吹く風。頭の中に「現役引退」の4文字は存在しないーー。