社会人3年目ですが「年収200万円」で生活が苦しいです。「生活保護」を受けることはできますか? 働いていると厳しいでしょうか?

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物価高にあっても給料は思うように上がらず、家計のやりくりにお悩みの方もいるのではないでしょうか。とくに20代は給与水準がまだ低いうえに、奨学金の返済などに追われている人も少なくありません。生活に足りるだけの給与がない場合、生活保護を受給することは可能なのでしょうか。 この記事では、生活保護の受給要件や収入アップのためにできることをご紹介します。

「十分に働ける」のであれば原則生活保護の受給対象にはならない

日本国憲法第25条では、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としてます。
この健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、生活保護制度があります。生活の困窮度合いに応じて、生活扶助や住宅扶助などの保護費が支給される制度のことです。生活保護を受けるためには、次の要件を満たしていなければなりません。

資産の活用:預貯金や生活に利用していない土地・家屋を売却して生活費に充てる
能力の活用:働ける人は能力に応じて働く
あらゆるものの活用:年金や各種手当などの給付をまずは活用する
扶養義務者の扶養:親族からの援助を受けられる場合には援助・扶養を受ける

まずは自分でできることに取り組んだうえで、収入が最低生活費に満たないときに生活保護を受けられます。最低生活費とは、以下の項目を合計した金額のことです。

A 生活扶助基準(1類+2類+特例加算+経過的加算):居住地ごとに基準額が定められている
B 加算額:障害者、母子世帯、児童を養育する場合など
C 住宅扶助基準:居住地ごとに定められた基準額の範囲内で実費相当
D 教育扶助基準、高等学校等就学費
E 介護扶助基準:介護日費の平均月額
F 医療扶助基準:医療費の平均月額

生活保護は、最低生活費に収入が満たないときに適用されます。
 

生活保護の受給要件を満たさない可能性が高い

東京23区・20代・単身世帯の場合、最低生活費は約13万円となります。次に、年収200万円の手取り月収を見ていきましょう。

月収:約16万7000円
健康保険料:約8000円
厚生年金保険料:約1万6000円
雇用保険料:約1000円
所得税:約2000円
住民税:約5000円

月収から各種保険料・税金を差し引いた手取り月収は約13万5000円で、最低生活費を上回ります。したがって、年収が200万円ある相談者のケースでは生活保護の受給要件を満たさない可能性が高いでしょう。
 

公的サービスを利用したキャリアアップ・年収増も図れる!

年収200万円では生活保護の対象にならないことがわかりました。では、生活苦を脱するためにはどのようなことができるのでしょうか。
 

転職で年収アップをねらう

20代なら、異業種にも挑戦しやすいので転職による年収アップを目指してみましょう。
学校を卒業後、1~3年以内なら第二新卒としての転職をねらえます。第二新卒は、一度は就職しているので基本的なビジネスマナーが身についていることが期待されます。企業の人員戦略の一環として、新卒と中途採用(即戦力)の中間的な位置付けでの採用ニーズがあるのが特徴です。
 

職業訓練を活用

職業訓練などの公的サービスを活用し、キャリアアップを目指す方法もあります。
たとえば東京都では、中小企業で働く方を対象にキャリアアップ講習を開講しています。仕事を続けながらスキルアップや資格取得できるので、今の会社で年収アップを目指したい方にもおすすめです。
このほか、35歳以下で離職した方を対象とした職業訓練とキャリアカウンセリングによる再就職支援などもあります。
 

まとめ

いざというときに暮らしを保障してくれる生活保護ですが、一定の収入が得られるだけの働く能力があると生活保護費の支給対象にならない可能性が高いでしょう。しかし、20代ならキャリアアップによる年収増が期待できるので、異業種への転職なども視野に入れながら収支の改善を目指していきましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護を申請したい方へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー