「1年通じて二桁視聴率なし」不名誉な記録を生んだフジテレビ『月9枠』に囁かれる「限界説と不要論」

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4月8日からスタートした広瀬アリス(29)主演の月9ドラマ『366日』(フジテレビ系)が今月16日に最終回を迎えた。

本作は、アーティストの『H Y』の代表曲『366日』の世界観に着想を得たオリジナルストーリー。高校時代に実らなかった恋を、12年越しに叶えようと再び動き出した男女を巡る恋愛を描いている。しかし、その視聴率は厳しいものだった。初回の世帯平均視聴率(関東地区、以下同)は7.2%。その後も回を重ねるごとに視聴率を落とし、5%台の低空飛行が続いた。終盤に持ち直しはしたものの、最後は平均視聴率6.6%で終了。1クールを通じて視聴率が二桁に届くことは一度もなかった。

しかし、業界内の評価は決して悪くないという。キー局ドラマ制作プロデューサーが明かす。

「賛否はありましたが、それでも“ベタな展開”を貫いたことで、視聴者は付いて行きやすかったのではないでしょうか。楽曲とのシンクロや最終話でのタイトルの伏線回収という仕掛けにも、しっかりと驚かされました。強いていうならば、最終話に向けてそれぞれの心情の変化をもう少し丁寧に描いて欲しかったというのが心残りですかね。

2話以降は低空飛行が続きましたが、これは第1話が前クールの『君が心をくれたから』(フジテレビ系)と酷似していたことが一因だと思います。役者陣の演技という点でも、主演の広瀬アリス眞栄田郷敦(24)は素晴らしく、彼らの業界内での評価は一段と上がったと思いますよ」

実際に俳優陣の演技力と“ベタ”なストーリーは好評だったようで、配信サイト『TVer』のお気に入り登録者数では日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS)を抑えて、4月期の連ドラの中では4位だった。

しかし、フジテレビ局内で今回の結果が重く受け止められているという。それは看板ドラマ枠である『月9』で、ある不名誉な記録が生まれてしまったからだ。実は『366』の視聴率が低迷したことで、昨年7月期の『真夏のシンデレラ』、10月期の『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』、1月期の『君が心をくれたから』に続いて1年を通じて一度も二桁視聴率を獲得できなかったのだ。

演者の実力もあり、企画も評価されているのに結果が出ない――。抜け出すことができない大きな谷間に陥っている今の『月9』だが、7月期には勝負の一手を用意している。満を持して制作を進めているのが、目黒蓮(24)が主演を務める『海のはじまり』だ。

「本作は、社会現象とも呼ばれた『silent』(‘22年10月期/フジテレビ系)の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品を制作する予定です。脚本の生方美久は、『silent』以来、2年ぶりに目黒とタッグを組む。さらに有村架純(31)や大竹しのぶ(66)、池松壮亮(33)などの実力派が脇を固めます。キャスティングや製作陣からも分かるように、『月9』復活にかける本気度が伝わってきますよね」(テレビ誌ライター)

不名誉な記録を生んでしまった『月9』の救世主となるべく期待が掛かるが、フジテレビ関係者は「これでコケてしまった場合は、最悪の展開もある」と明かす。勝負のドラマでも結果が出せなければ、局内でかねてから囁かれているという『月9不要論』が、本格化する可能性があるのだ。

「この1年は本来の『月9』の強みである恋愛ドラマへの回帰を掲げてきました。今までは平均視聴率10%前後を記録していたのに、恋愛ドラマへ梶を切ったこの1年は散々たる結果で、局としてもかなりの痛手になっていますね。今回の『海のはじまり』は、恋愛ドラマを封印して再起をかけていますが、これでダメだった時には、『月9ドラマ』の枠そのものが時代に受け入れられなくなった証左となってしまうと思っていますね。

現在でも『月9』には、1話あたり最高で3000万円ほどの予算が組まれています。それで結果が出ないとなれば、放送枠を別コンテンツに変えた方が視聴率が取れるという話になる。局としては伝統あるコンテンツなので、そうならないことを願っていますが、背に腹は変えられないところまで来ています」(フジテレビ関係者)

正面場を迎えている『月9』。7月から始まる『海のはじまり』は、再起に向けた“はじまり”となるか。