事故の再現テスト。布に接着剤をたらし、手前のカメラで熱画像を撮ると、色が変わって発熱しているのがわかる。温度は60度を超えた=6月19日、東京都港区高輪3丁目

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 つけ爪用接着剤でのやけどにご注意を――。

 接着剤がティッシュペーパーや布などに染み込むと急速に化学反応が進んで発熱する。国民生活センターのテストでは、数十秒で170度近くになることもあった。つけ爪用接着剤は「接着剤」にも「化粧品」にも分類されない法律の隙間の商品で、注意表示がされていないものがあるという。

 今年5月には大阪府河内長野市で、子どもの腕につけ爪用接着剤がかかり、やけどをした事故が起きた。

 また、国民生活センターによると、昨年11月に地元の消費生活センターに相談した10代の女性は、親指の爪につけようとしたつけ爪用接着剤が手のひらに垂れてしまい、ティッシュペーパーでふき取ったところ、やけどをした。1カ月以上の通院が必要との診断を受けた。

 2020年5月に相談した30代の女性は、つけ爪用接着剤の容器を倒してしまい、ズボンの両足の太ももあたりにこぼした。白い煙が出て熱くなり、すぐにズボンを脱いで冷やしたが、やけどを負って治るまで1カ月以上かかると言われた。

 こうした接着剤には、シアノアクリレート系の物質が主成分として使われている。この物質は空気中や接着面の水分と反応して硬くなる際に反応熱が出る。ティッシュペーパーや布といった繊維質のものに染み込むと表面積が拡大して急激に反応が進み、高い熱が発生する。シアノアクリレート系の物質は瞬間接着剤でも使われており、同じ危険がある。