アメリカの疾病予防管理センター(CDC)や食品医薬品局(FDA)、アメリカ毒物センター、そして州当局のパートナーは現地時間の2024年6月12日に、「nootropic(向知性)」などをうたう特殊なキノコ成分入りの菓子を食べた人々が、重度の急性疾患で入院する事態がアメリカの8つの州で相次いでいると報告しました。

Health Alert Network (HAN) - 00509 | Severe Illness Potentially Associated with Consuming Diamond ShruumzTM Brand Chocolate Bars, Cones, and Gummies

https://emergency.cdc.gov/han/2024/han00509.asp



Seizures, heart rhythm problems and acidic blood seen in 12 people after eating snacks containing mushrooms | Live Science

https://www.livescience.com/health/medicine-drugs/seizures-heart-rhythm-problems-and-acidic-blood-seen-in-12-people-after-eating-snacks-containing-mushrooms

今回問題になっているのは、精神作用のある物質のマイクロドージング(作用量を下回る微量の服用)をうたうお菓子メーカー・Diamond Shruumzが販売するチョコレートバーやグミ、コーン(甘いフィリングが入ったアイスクリームコーン)などです。これらの製品は、オンラインサイトや大麻製品を販売するアメリカ全土の小売店などで販売されています。



当局によると、これらのDiamond Shruumzの製品を食べた後でさまざまな症状に見舞われて病院を受診した症例が、8つの州で合計12人確認されているとのこと。

報告された症状は中枢神経系の抑制や発作、筋肉のこわばり、クローヌス、振戦(体の一部の震え)、異常な徐脈または頻脈、異常な低血圧または高血圧、胃腸への影響(吐き気・おう吐・腹痛)、皮膚の紅潮、発汗、代謝性アシドーシスなど多岐にわたります。

医師の診察を受けた12人のうち10人が入院し、数人の患者は気管挿管や人工呼吸器の装着、集中治療室への入院が必要なほど重度の症状を示したとのこと。6月11日の時点で亡くなった患者は確認されていません。



Diamond Shruumzは、問題となった製品には「向知性キノコと機能性キノコの素晴らしい独自ブレンド」が入っているとうたっていますが、マジックマッシュルームの有効成分であるシロシビンのような幻覚成分は入っていないと主張しています。

Diamond Shruumzの製品には霊芝(れいし)やチャーガといったキノコの成分が入っており、同社のウェブサイトでは「免疫力を高め、ストレスを和らげる効果がある」と説明されています。Diamond Shruumzは、これらのキノコには「adaptogen(アダプトゲン)」という天然化合物が含まれており、人が身体・感情・環境的なストレスに対処するのを助けると訴えていますが、健康への影響を裏付ける強力な科学的証拠はないとのこと。

当局は、「大麻やキノコの抽出物などの精神活性化合物を含む製品が増加しています。これらの『食品』はグミ、キャンディー、チョコレート、その他のスナック菓子として販売されることがよくあります。製品には違法な物質やその他の混入物、または食品での使用が承認されていない潜在的に有害な汚染物質など、非公開の成分が含まれている可能性があります」と警告しています。



記事作成時点では、報告された症状の原因は不明です。当局は、製品が健康への悪影響に関連しているのかどうかを調べると共に、報告されていない潜在的な症例を特定する取り組みを進めるとしています。

当局は一般消費者に向けて、「Diamond Shruumzブランドのチョコレートバーやコーン、グミを食べたり、販売したり、提供したりしないでください。また、購入したこれらの製品はすべて廃棄してください」とアドバイスしました。