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離婚要求に応じる条件として、養育費は一括払いしてもらいたい──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

夫から「おまえとは性格が合わない」「自由な恋愛がしたい」などと勝手な言い分で離婚を要求された相談者。長年モラハラを受けていたこともあり離婚に応じてもいいと思っていますが、支払いが滞らないように子の養育費は一括で払ってもらいたいと考えているようです。

養育費をもらう側が一括払いを要求することは可能なのでしょうか。河内良弁護士に聞きました。

●一括払い「必ずしもメリットばかりというわけではない」

──養育費の一括払いを求めることは可能なのでしょうか。

離婚時に将来にわたる養育費を一括払いしてもらうことは、法的権利として強制することはできません。ただし、夫が承諾して任意に応じるぶんには受け取ることが可能です。

──一括払いのメリットやデメリットは何でしょうか。

メリットとしては、夫の収入が将来減少したり、夫自身が行方不明になるなどの事情で、養育費の回収が困難になるというリスクを回避するということが挙げられると思います。

逆に離婚後に夫の収入が増加しても、収入増加に見合う分の養育費の増額を求めるなどの主張がしにくくなるのは、妻側のデメリットといえるでしょう。

また、支払われる金額が1000万円を超えるなどした場合、贈与税が課税されるケースもあることから、養育費の一括払いは必ずしもメリットばかりということではありません。

──養育費の一括払い以外の方法でまとめて受け取る手段はありますか。

一定のまとまった金額を離婚時に受け取りたいということであれば、協議離婚に応じる見返りとしての解決金を請求したほうがスマートだと考えられます。

「夫からの身勝手な離婚要求に対するカウンター」ということなら、離婚にはしばらく応じないでいて、婚姻費用をもらい続けて別居を継続する方が、より夫に対する打撃になることもあるでしょう。

いずれにせよ、現在の状況や夫の収入額の情報を基に、弁護士に相談すべきだと思います。

【取材協力弁護士】
河内 良(かわち・りょう)弁護士
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。
事務所名:河内良法律事務所
事務所URL:http://www.kawachiryo-law.jp