インターネットの検閲の調査を行っている非営利団体・Access Nowの調査で、2023年はインターネットへのアクセス遮断件数が過去最悪を記録したことがわかりました。

Internet shutdowns in 2023: the #KeepItOn Report

https://www.accessnow.org/internet-shutdowns-2023/

India leads in global internet shutdowns for 6th year in a row: Report | Latest News India - Hindustan Times

https://www.hindustantimes.com/india-news/india-leads-in-global-internet-shutdowns-for-6th-year-in-a-row-report-101715771306186.html

2023 Was the Worst Year for Internet Shutdowns, Report Finds | TIME

https://time.com/6978512/internet-shutdowns-india-report/

Access Nowの報告によると、2023年は世界39カ国で283件のインターネット遮断が発生したとのこと。この記録は40カ国で201件の閉鎖が発生した2022年から82件、割合にして41%増加し、2016年に監視を始めてから最悪の数字でした。



世界でのインターネット遮断が増加した背景には、武力衝突や紛争といった暴力があります。2023年のインターネット遮断のうち173件は紛争地帯で発生しており、例えばガザ地区では「イスラエル軍が民間通信インフラを直接攻撃したのに加え、電力の供給の制限や技術的な妨害を組み合わせてインターネットを遮断しました」とAccess Nowは報告書に記しました。

具体的には、イスラエル軍の攻撃でパレスチナではインターネットが16回遮断されました。自然災害も無視できない要因となっており、2023年にはトルコやイラクなどの地域で地震が発生しているほか、リビアでは死者と行方不明者を合わせて約1万2500人の人的被害が出る洪水が発生しました。



また、2022年からロシアによる侵攻を受けているウクライナでも、ロシアが行ったもの6件を含む8件のインターネット遮断が発生しました。



地域ごとに見ると、全283件のうち116件はインドで発生しており、37件で次点のミャンマーに3倍以上の差を付けて世界最多でした。2016年以降に記録された遮断1458件のほぼ半数である773件がインドで発生しており、同国は6年連続でインターネット遮断が最多です。



インドでのインターネット遮断の多くは州などの政府機関が実施しており、Access Nowは報告書の中で「インド当局は危機に対するほぼデフォルトの対応策として積極的、ないし事後的にインターネットを遮断し続けています」と非難しています。

インドでは、カンニング防止のために試験当日にインターネットを遮断するなど、必ずしも人命に危険が及ばない場合などでも通信の遮断が行われることがあります。

カンニング防止のため地域一帯のインターネットが遮断される事態に - GIGAZINE



こうした点から、Access Nowはインターネット遮断の世界的な傾向について「2023年は、ほとんどすべての指標でインターネットの遮断が過去最悪の1年であり、人権にとって憂慮すべき危険な傾向が調査によって浮き彫りになっています」と述べました。