能登半島地震発生から4ヶ月……復旧が進まない理由は
5月10日(金)、ニュースキャスター長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、フリーディレクター・災害NPOチーム「ユニコン」メンバーの中村健吾氏を招き、能登半島地震の復旧遅れについて話を伺った。
長野智子「この番組でも何度か、能登半島地震はどうしてここまで(復旧が)遅いのかと。復旧までもいってないんじゃないかっていうお話をしましたけれども。その理由を今日はぜひお伺いしたく。よろしくお願いします」
中村健吾「(地震から)4ヶ月が過ぎましたけども。いままで東京から10回(災害)現場に通ってます。活動日は移動も合わせて40日を超えているんですけど、このゴールデンウィークも現場に一週間行きました。たとえば大阪の娘さんの所に二次避難して帰ってきた人のお宅の片付けなどを手伝ったんですけど、いまだにガラスが散らばっていたり、崩れた壁があったり。復旧っていうのは家を元の姿に戻すことだとしたら、ガラスの割れたものを片付けるっていうことも手をつけられてないお宅は多いです」
長野「もう4ヶ月も経ったのにですか?」
中村「災害支援はこれまで10いくつやってきて、災害の後ってやっぱりマンパワーに勝るものはないんですよ。本当に人手がいると片付くんですけど、根本的に人手不足。ボランティアは徐々には増えていて、ゴールテンウィークで700人ぐらい能登には入ったって言われているんですけど、8年前の熊本地震の時は5月4日の一日で3700人が入ってます。5年前の台風19号のときは10月の土曜日1日だけで全国に17000人のボランティアの人が助けに行ってるんですよ。それと比べると、いくら増えたといっても甚大な被害でボランティア700人っていうのがいかに少ないかなんですよね。ただ、ボランティア以外も人手不足は深刻で、いまようやく公費解体が始まりましたけど、公費解体をする業者も圧倒的に足りないから遅々として進まない」
長野「なんでそんなに少ないの?ボランティア(の受け入れ)を最初に絞ったっていうのが後を引いてるんですか?」
中村「まぁ、それも含めて。もっと全国に自治体の応援をくれとか、全国の業者に集まってくれとか発信するべきですね。正直言って、重機なんて全く足りてませんから」
長野「重機はなんで足りてないんですか?」
中村「石川県って、コマツ(重機メーカー)があるんですよ?先週もブロック塀解体を10人がかりで2日がかりでやったんですけど、そこにショベルカーの重機があったら2時間で終わりますよ」
長野「これは司令塔が悪いってこと?」
中村「災害っていうのは基本的に市町村が対応することになってるんですけど、最近の被災地はどこでもそうなんですけど、各自治体とも人口減とか空洞化とか高齢化の問題を抱えて、自治体そのものが疲弊しているのもあって。奥能登の市町村はすごく深刻な被害を受けたので、あんまり機能していないということで、石川県が中心となってやってるんですよね。本来は市町村がやるべきことを石川県がやってるんですけど、そうするとやっぱり現場との距離が生まれるんですよね。情報が集まりにくい」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「あぁ~」
中村「ちなみに距離について東京の皆さんにもわかりやすく説明しておくと、輪島市と珠洲市っていうのは金沢市から100km以上離れてるんですよ。金沢市から珠洲市が直線距離で120km、道路で140kmあるんですよ。東京から甲府まで110km、東京から日光がちょうど120kmなんですよ」
鈴木「隣町のイメージでいましたけど、そんなに離れてるってことなんですね」
長野「うわぁ~!それは届かないわ、いろんな声も」
中村「高速道路があっても時間かかるんですよ。そのくらい離れたところだと情報を集めるのに時間がかかるし、タイムラグがあるし。情報がないとやっぱり次の手が打てないんですよね。自治体もそうだし、現場に入ってる支援団体との情報共有の場が少ないっていう声は聞きますよね。県が距離をどう克服してやっていくかっていうのが、このあとの課題じゃないですかね」