コウテイペンギン(Gabrielle/stock.adobe.com)

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 気候変動が、“絶滅”をもたらしてしまうのか―英国南極観測所によると、2023年の記録的な海氷の減少により、コウテイペンギンのひなが大量に死んでしまったという。コウテイペンギンペンギン種としては世界最大で、南極に2つしかない固有種の1つ。卵を産み、ひなを育てるためには海岸にしっかりと張り付いた海氷が必要とされている。

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 同観測所の研究者によると、氷の解けるのが早すぎたため、ひなたちは水を通さない羽に生え代わる前に海に落ち、凍死するか溺死するなどの現象が相次ぎ、最終的には数万羽が死んだという。昨年、南極大陸に66カ所あるコウテイペンギンの生息地のうち14カ所で実際にそうしたことが起きた。専門家によると気候変動と気温上昇により、南極の海氷が記録的な低さまで縮小したためだという。

 人工衛星などを駆使して研究を続けている同観測所のピーター・フレットウェルさんは「今世紀末、つまり現在から75年後までの間に、およそ99%のペンギンがいなくなり、少なくともコウテイペンギンは全滅するだろうと予測している」と話す。

 ただ、環境の変化に適応しているペンギンたちもいるとみられる。2023年は融けた海氷の面積が前年よりも大きかったにもかかわらず、コウテイペンギンの生息地では2022年よりも繁殖失敗については、数が少なかったという。

(ロイター/よろず~ニュース編集部)