東京オートサロン2024に展示されていたカスタマイズカーの中から、今回はディーラーでも購入可能な無限のシビック タイプRと、モデリスタのアルファード/ヴェルファイアをピックアップして紹介する(筆者撮影)

国内最大級のカーショー「東京オートサロン2024」が、2024年1月12〜14日に幕張メッセで開催された。42回目を迎える今回も、さまざまなカスタマイズカーが展示されたが、なかでもユーザーにとって身近な存在といえるのが、自動車メーカー直系ブランドのパーツ装着車だろう。

いわゆる「純正カスタマイズパーツ」と呼ばれるもので、外装のエアロや内装のドレスアップ用品、マフラーなどの機能パーツなど、さまざまな製品を最寄りのディーラーで購入することが可能。新車購入時はもちろん、愛車に乗り始めて数年後でも、設定があれば装備できる。また、メーカー保証もあるため、安心して装着できるなどのメリットがある。

ここでは、そんな自動車メーカー直系ブランドのなかから、とくに注目だったカスタマイズカーをピックアップ。本田技研工業(以下、ホンダ)系の「無限」が手がけた「シビック タイプR」用、トヨタ自動車(以下、トヨタ)系の「モデリスタ」が手がけた「アルファード/ヴェルファイア」用のパーツ群を紹介する。

無限が提案するシビック タイプRのカスタム

まずは、ホンダ車用アフターパーツなどを手がけるM-TEC(エムテック)が運営する無限から紹介していく。昔から4輪車・2輪車のレース活動なども行っており、モータースポーツ愛好家にもおなじみのブランドだ。

今回の東京オートサロンで無限が展示したのは、ホンダが誇るスポーツモデル「シビック タイプR」向けに開発した新作パーツ装着車だ。「グループA」と「グループB」という2タイプのパーツ群をデモカー2台に装着し発表した。


グループAというパーツ群を装着した無限のシビック タイプRのリアビュー(筆者撮影)

2023年の東京オートサロンで展示した「シビック タイプR無限コンセプト」をベースに、市販化に向けて開発したのがこれら新作パーツ。すでに、税込みの予定価格(2024年1月時点)も発表されているグループAは、基本的に樹脂素材やステンレス素材を使ったパーツ群だ。オリジナルのエアロなどにより空力特性を向上させるとともに、車両重量も純正比で18kgの軽量化を実現するという。


シビック タイプR無限 グループAのフロントセクション(筆者撮影)

主な装着パーツは、フロントにアンダースポイラー(税込み11万円)やバンパーガーニッシュ(税込み7万7000円)、車両の両サイドにもサイドガーニッシュ(税込み13万2000円)を装着。また、リアにもアンダースポイラー(税込み9万9000円)やウイング(税込み30万8000円)を装備するほか、ステンレス製スポーツエキゾーストマフラー(税込み39万6000円)も採用。


シビック タイプR無限 グループAのホイール(筆者撮影)

ホイールは、軽量な鍛造製の19インチアルミ製(税込み17万6000円/1本)だ。さらに、内装ではフルバケットシート(税込み29万7000円/1脚)や専用シフトノブ(税込み2万2000円)などを装備し、さらなるスポーティさを演出している。

よりレーシーなスタイルの「グループB」


グループBのパーツ群を装着した無限のデモカー「シビック タイプR 無限 グループB」(筆者撮影)

一方、グループBは、「究極のタイプR」というコンセプトで開発し、より高性能化を図ったパーツ群だ。グループAのパーツ群をベースに、レーシングカーにも使われるカーボンやチタンといった軽量・高剛性の素材を使用。空力特性を向上させるエアロパーツでは、車両を地面に押しつける力などを意味するダウンフォース量が、グループAの25%増加に対し、グループBでは48%も向上する。また、ノーマル車と比べた車両重量も、18kgの軽量化となるグループAに対し、グループBでは38kgも軽くなる。


シビック タイプR 無限 グループBのリアビュー(筆者撮影)

シビック タイプRといえば、5ドアハッチバック車の「シビック」をベースに、高性能エンジンや専用の足まわりなどを採用し、スポーティな走りを体感できることが魅力。昔からスポーツカー好きに大きな支持を受けてきたモデルだ。現行モデルでも、エンジンの排気量を1.5Lターボから2.0Lターボに変更し、最高出力もスタンダード車の134kW(182PS)から243kW(330PS)へアップ。専用のホイールやサスペンションなどと相まって、爽快な走りが楽しめるクルマに仕上がっている。


シビック タイプR 無限 グループBは、カーボン製のリアウイングも装着していた(筆者撮影)

そんなシビック タイプRのポテンシャルを、さらにアップできる無限のパーツ群を待ち望むユーザーも多いだろう。シビック タイプRに限らず、スポーツカーの需要は昔ほどではない。だが、確実に「コアなファン層」はいる。そうしたユーザーにとって、レース活動で培った技術力に裏打ちされた無限の製品は、とても魅力的なのだ。

なお、今回発表されたパーツ群のうち、グループAは2024年春に発売予定(上記価格は変更の可能性あり)。2024年秋に発売予定のグループBは価格未定だが、カーボンやチタンといった高価な素材を使うため、グループAよりも高い価格帯となることが予想される。

モデリスタからはアルヴェル用アイテムが登場


「REGAL DIGNITY(リーガル ディグニティ)」と名付けられたモデリスタのトヨタ「アルファード」(筆者撮影)

一方のモデリスタ。こちらは、トヨタのグループ企業「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」が手掛けるカスタマイズブランドで、1997年の創業から続く老舗。トヨタ直系である強みを活かした品質の高さや、個性的なデザインなどに定評がある。

今回の東京オートサロンにモデリスタは、トヨタの最高級ミニバンで、フルモデルチェンジを受けて2023年6月に発売された新型アルファード/ヴェルファイア用のパーツ装着車を展示した。


アルファードのリアビュー(筆者撮影)

アルファード用パーツを装着したデモカーは、ミドルグレードの「Z」がベース。「REGAL DIGNITY(リーガル ディグニティ)」というデザインコンセプトで開発されたエアロなどは、「個性際立つ堂々さ」「煌(きら)めくスタイル」を表現し、ベース車のもつ存在感をさらに際立たせたという。

主な装着パーツは、まず、モデリスタエアロパーツセット(税込み36万8500円)。フロントスポイラーやサイドスカート、リアスカートとドレスアップマフラーを組み合わせたリアスタイリングキットで構成されている。また、フロントフェイスには、立体的なデザインのフロントグリル(税込み7万1500円)、左右の開口部に装着するブルーLED付きのシグネチャーイルミプレート(税込み8万8000円)なども装備。これら各パーツにはメッキ加飾も施すことで、ワイドな雰囲気とさらなる高級感を演出している。


メッキアイテムできらびやかな印象に仕上がったフロントフェイス(筆者撮影)

ほかにも、デモカーには、フロントフードやサイドドア、フェンダーなどにメッキガーニッシュを施したクールシャインキット(税込み20万5700円)や、20インチのオリジナル大径ホイール(税込み43万4500円)なども装着。これらにより、一味違う独創性あふれるフォルムを生み出している。

ヴェルファイア用パーツ


「BEAST RAZOR(ビーストレザー)」と名付けられたヴェルファイア(筆者撮影)

一方、ヴェルファイア用のパーツ群。こちらは、最上級グレード「エグゼクティブ ラウンジ」をベースにしたデモカーを展示した。デザインコンセプトは「BEAST RAZOR(ビーストレザー)」。BEASTは野獣、RAZORはカミソリという意味で、ベース車両が持つシャープなイメージを、メッキパーツなどでさらにアグレッシブにしていることが特徴だ。


ヴェルファイアのリアビュー(筆者撮影)

主な装着パーツは、まず、ベースとなるモデリスタエアロパーツセット(税込み40万7000円)。アルファード用と同様に、フロントスポイラー、サイドスカート、リアスカートとドレスアップマフラーを組み合わせたリアスタイリングキットのセットだ。フロントスポイラーには、センターから左右に伸びるメッキパーツとボディ色部分のウイング形状をマッチング。また、サイドスカートには、ボリューム感ある形状を採用する。メッキパーツとブラックアウトのコンビネーションで重厚感を演出したリアスカートや、スクエアなドレスアップマフラーにより、リアビューにも迫力のフォルムを実現している。


ヴェルファイアに装着されていた20インチアルミホイール(筆者撮影)

ほかにも、デモカーには、アルファード用と同様のパーツ群も装着。クールシャインキット(税込み20万5700円)、20インチのオリジナルホイール(税込み43万4500円)などをセットすることで、ヴェルファイアのフォルムを、さらに力強く、先進的なイメージとしている。

キントでもカスタム仕様を設定


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ちなみに、トヨタが運営するサブスクリプションサービスの「キント(KINTO)」では、これらカスタマイズパーツをパッケージ化して装着した車両も取り扱っている。モデリスタ仕様の利用料金は、アルファードが月額5万7310円〜、ヴェルファイアが月額7万290円〜。両モデルは、ベース車だけでもアルファードで540万円〜872万円、ヴェルファイアで655万円〜892万円とかなり高価。それに加え、カスタマイズを施せば価格はさらに上がる。

そのため、たとえば、予算はあまりないが、どうしてもカスタマイズした車両に乗りたいユーザーなどは、キントを利用するのもひとつの手だ。トヨタ直系であるモデリスタには、購入や所有に関して幅広い選択肢があることもメリットのひとつだといえよう。

(平塚 直樹 : ライター&エディター)