『スパイダーマン』アンドリュー・ガーフィールド、おすすめ出演映画7選 ─ 長編デビュー作からスコセッシ監督作、アカデミー賞ノミネート作まで
俳優の代表作と聞いて思い浮かべるのはどの作品だろうか。それぞれ思い入れは異なるだろうが、間違いなく『アメイジング・スパイダーマン』シリーズは上位に挙がるはずだ。
2010年、ガーフィールドは26歳の時にトビー・マグワイアの後継スパイダーマン/ピーター・パーカー役に抜擢。『アメイジング・スパイダーマン』(2012)と『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)の2作品で主演を務めた後、トム・ホランドにバトンを渡した。そして2021年には、トム・ホランド版シリーズ3作目『』でマグワイアと一緒に奇跡のカムバックを果たした。
ファンにとっては言わずもがなだが、ガーフィールドは俳優として豊富なキャリアを持ち、代表作は『アメイジング・スパイダーマン』だけではない。本記事では、アカデミー賞ノミネート歴もある“実力派俳優”アンドリュー・ガーフィールドのキャリア初期から直近までの出演作から、厳選7作をご紹介しよう。
『BOY A』(2007)2007年公開、『ブルックリン』(2015)で知られるジョン・クローリー監督作。ガーフィールドは本作で長編映画&主演デビューを飾った。
演じたのは、10年前に少女を殺した罪で投獄された青年。保釈後は過去と決別し、「ジャック」という新たな名前で更生の道を進み始めていく。ある時、自動車事故に遭った少女を救った善行がマスコミに注目される。しかし、皮肉にも知られたくない過去まで暴かれてしまい……。
少年時代を刑務所で過ごし、人との接し方もろくに分からないジャックだが、手にしたセカンドチャンスの切符と共に再び社会に出る。ガーフィールドは初主演ながらも、自然体な演技でジャックの複雑な内面を表現している。
本作で、英国アカデミー賞(BAFTA)テレビ部門で主演男優賞を受賞。出演後は活動拠点をハリウッドに移し、ロバート・レッドフォードやテリー・ギリアムといったベテラン監督の映画に参加。着々と知名度を上げていった。
『わたしを離さないで』(2010)カズオ・イシグロによる同名小説を映画化した企画。キャリー・マリガン、キーラ・ナイトレイと並び、メインキャストに起用された。
臓器提供を人生の使命とするクローンの少年少女たちの、生への渇望や運命への抗いを描く物語。ガーフィールドは、主人公キャシーの幼馴染で大事な存在となっていく、癇癪持ちのトミーを演じた。
トミーは希望と絶望を象徴する存在だ。愛し合っていると証明できれば臓器提供の猶予が与えられるという学校内の憶測を信じるトミーは、キャシーとの幸せな人生を思い描く。心の奥底では、それが叶わないと分かっていたにもかかわらず……。
ガーフィールドが感情豊かに演じたトミーは物語における支柱とも言え、作品の哀愁を誘い出した。数々の映画祭でノミネート・受賞を果たし、演技派としての評価を高めた。
『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ後に出演したメル・ギブソン監督による実話に基づく映画。アカデミー賞主演俳優賞にノミネートされた、キャリア転機の1作だ。
敬虔なキリスト教徒であるデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は、激化する第二次世界大戦に志願する。しかし、人を殺すことが教えに反することから、衛生兵としての入隊を決意するのだった。軍の仲間からはいびられ、訓練に参加しているのに銃に一切触れようとしないことから軍法会議にかけられる始末。しかし、何があっても信念を曲げることなく、沖縄への着任後、高さ150メートルにも及ぶ絶壁「ハクソーリッジ」で苦戦を強いられても、たった1人戦場に残り負傷した仲間の手当てにあたっていった。
© Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016ガーフィールドは本作への出演にあたり、ギブソン監督に一つの条件を提示。「映画のメッセージが“キリスト教が唯一の道”というものなら、この映画には出演しません」とそうだ。「デズモンドの意志は、どんな教えやルールよりも深いものなんです」。
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『沈黙 -サイレンス-』は『ハクソー・リッジ』同様、「信念」が主題の作品。マーティン・スコセッシ監督作で主演に抜擢されるなど、巨匠監督たちからの厚い信頼もうかがえる。
遠藤周作の小説『沈黙』を原作とする本作は、キリシタン弾圧化の長崎を舞台に、2人の宣教師が日本で捕らえられた師匠を追うべく、潜入する物語。隠れキリシタンの日本人たちと出会いながら、生きること、信じることの本質を問いていく。
30歳手前にして俳優としての円熟味を増していったガーフィールド。本作への準備には丸一年を費やし、イエズス会創立者イグナチオ・デ・ロヨラが生み出した精神修行「霊操」も実践した。もう1人の弟子を演じたアダム・ドライバーとは初対面にもかかわらず、1週間の瞑想生活を送ったという。
日本人キャストとの競演も見られる貴重な作品。窪塚洋介や塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮ら名だたる俳優との掛け合いは見ものだ。
『イット・フォローズ』(2014)の気鋭デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督によるサスペンスコメディ。ベテランフィルムメーカーとの仕事が続き、タフな役を演じたガーフィールドは、本作でフレッシュな姿を見せている。
ポップカルチャーとカート・コバーンを愛するロサンゼルスのオタク青年サムは、ある日隣人のブロンド女性に一目惚れしてしまう。人生に輝きを取り戻したと思った矢先、美女が失踪を遂げる。諦めきれないサムは美女探しに執着するようになり、次第に大きな陰謀に巻き込まれていく。
© 2017 Under the LL Sea, LLC取り憑かれたようにして、消えた女性を追うサム。周りにいたらヤバい人だが、ガーフィールドが演じると磁石のように引き寄せられ、不思議な親近感を抱いてしまう。喜怒哀楽、心の機微も何なりと演じ分ける姿には、頼もしさも感じられる。
出演を打診された時、ガーフィールドは『ハクソー・リッジ』の撮影中だった。公開当時のでは、「正反対の作品には元気づけられました。“これはやりたい”って思いました」と語っていた。
ジェシカ・チャステインとのW主演を務めた伝記映画。1970年代から80年代にかけて、キリスト教福音派のテレビ伝道師として愛のあるメッセージを発信し続けたジム・ベイカーを演じた。
妻のタミー・フェイと共に全米一の成功を収めたジムだが、栄光は長くは続かず。金銭的な不正、ライバルの陰謀、ジムのスキャンダルなどにより、2人が築いた帝国はやがて崩壊していく。
ジム・ベイカーの栄枯盛衰を再現したガーフィールドは、特殊メイクを施して撮影に挑んだ。特殊メイクの経験がなかったため、演技上は「非常に役に立った」というが、一方で苦戦も。「自分自身や表現能力にズレを感じてしまった」と。
タミー役のジェシカ・チャステインとの熱演にも注目だ。タミーの視点で描かれる演出上、時に彼女の人間性を引き立てる抑揚のある演技が印象的。なお、チャステインは本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞している。
傑作ミュージカル『RENT』生みの親にして、同作の成功を見届ける前に亡くなったジョナサン・ラーソンの、壮絶ながらも愛に溢れた半生を描いた伝記映画。「イン・ザ・ハイツ」「ハミルトン」などのミュージカル作品で知られる作曲家リン=マニュエル・ミランダの初監督作だ。
本作はガーフィールド初のミュージカル作品。それまでのイメージを覆すどころか、むしろミュージカル出身なのではと思わせるほど安定したパフォーマンスを見せている。
Netflix映画『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』2021年11月19日(金)より独占配信開始。一部劇場にて11月12 日(金)公開。悲劇が見え隠れしているストーリーではありながらも、風変わりだが人間味溢れるラーソンの魅力をガーフィールドは存分に見せつけ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。本作出演を機に、俳優としての新たな可能性を見出したガーフィールドは「またやりたいです」とミュージカル作品への再挑戦に意欲を。
なお、本作は撮影開始前に他界した母親に捧げた1作でもある。深い悲しみを抱えて撮影に挑んだガーフィールドは公開当時、トーク番組で涙を浮かべながら「人生で出会った一番美しい人に芸術を通じて敬意を払わせていただいたことに感謝している」と。
ご紹介は以上となるが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』出演後のガーフィールドは「普通の生活を送りたい」という理由から俳優業を一時ストップしていた。もっとも、今後はフローレンス・ピューとの共演映画『We Live In Time(原題)』や、『デッドプール2』(2018)『ブレット・トレイン』(2022)のデヴィッド・リーチ監督が手がける企業ドラマ「Hot Air(原題)」への参加が決定しており、スクリーンで再会する日もそう遠くはなさそうだ。
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