残業10時間以下の企業のなかで年収が一番高いのはどこか(写真:タカス/ PIXTA)

「激務は避けたい」「ブラック企業は嫌だ」という思いがあっても、「どれくらいの残業時間が自分の許容範囲なのか」という具体的なイメージを持てている就活生はまだ少ないかもしれない。就職後の具体的な働き方をイメージするには、残業時間から1日の実労働時間を逆算してみる方法がおすすめだ。


例えば、会社で定められた勤務時間(いわゆる定時)が9:00〜18:00で完全週休2日制の企業の場合、「残業月10時間」なら毎日18時30分前後に退勤、「残業月20時間」なら毎日19時前後に退勤、「残業月40時間」なら毎日20時前後に退勤といった水準になる。具体的な働き方を想像しながら、自分に合った残業時間の目安を決めておくと、企業選びの際の1つの条件となるだろう。

理想の働き方を考えた結果、「残業が少ないホワイト企業がいいけど年収もゆずれない」という就活生のみなさんの本音に応え、本記事では『就職四季報』とその公式デジタルサービス「シキホー!Mine」の調査結果から、残業時間(全従業員平均)の回答が月10時間以下の企業を平均年収が高い順にランキングした。

医薬品と商社が上位にランクイン

1位はアステラス製薬。国内製薬業界では、武田薬品工業に次いで業界2位の会社だ。残業月5.5時間で、平均年収は1064万円と、今回のランキング唯一の年収1000万円超企業となっている。

医薬品業界の企業は残業が少なめの企業が多く、『就職四季報』掲載の医薬品関連企業77社のうち、残業時間(全従業員平均)の回答があった36社の平均は12.1時間であった。

2位は伊藤忠エネクス、伊藤忠商事系列の燃料商社大手だ。残業時間は8.5時間で、平均年収は978万円であった。他にも、4位のCBC (6.4時間、951万円)、6位の森村商事 (9.5時間、904万円)など、商社・卸売業の企業は100位以内に28社ランクインしている。

100位以内の企業について業種別に集計すると、上位5業種は以下の通りだ。


気になる企業は業種だけで敬遠しない

前述の商社・卸売業や医薬品メーカーのほか、化学メーカーの企業も、25位のJCU(6.3時間、843万円)、35位のエフピコ(7.8時間、801万円)、39位のタキロンシーアイ (7.1時間、795万円)などが多くランクインしていることがわかる。

医薬品や化学メーカーというと、理系の研究職でしか入社できないイメージがあるかもしれないが、毎年文系の学部卒を採用している企業も多くある。気になる企業は業種だけで敬遠せずに、『就職四季報』で詳細な採用実績データをチェックしていただきたい。

1〜50位


51〜100位


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(丹羽 夏海 : 東洋経済『就職四季報』編集部)