4〜6月期の赤字は拡大したが、新型SUV「G6」の販売の出足は好調という(小鵬汽車のウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)が8月18日に発表した2023年4〜6月期決算は、売上高は50億6000万元(約1011億円)と前年同期比31.9%減少。前年同期は27億元だった純損失は28億元(約560億円)に拡大した。大幅減収の主因は、EVの販売台数が前年同期比32.6%減の2万3200台に落ち込んだことだ。

注目されるのは、4〜6月期の事業全体の粗利率が直前の1〜3月期の1.7%からマイナス3.9%へと転落した点だ。自動車事業の粗利率は1〜3月期のマイナス2.5%からマイナス8.6%へと大幅に悪化した。

その理由について決算報告書では、旧型SUV「G3i」の在庫評価損や在庫車の処分損を計上したことを挙げた。そのほか、販促費の増加や中国政府のEV購入補助金の支給終了なども収益の悪化を招いたとした。G3iは同社が初めて市場に投入したSUV「G3」のマイナーチェンジ版で、すでに発売後2年近くが経過している。

「G6」は半月で3900台受注

とはいえ4〜6月期の業績は、小鵬汽車が1〜3月期決算の発表時点で開示した予想値を上回るものだった。当初の予想では、4〜6月期のEV販売台数は2万1000〜2万2000台、売上高は45億〜47億元(約900億〜940億円)としていた。

実際の業績がこの予想値を超えたのは、7月15日に販売を開始した新型SUV「G6」が、わずか半月で3900台を受注し、7月の販売台数の35.5%を占めるに至ったことが大きい。

小鵬汽車の財務担当副総裁(副社長に相当)を務める呉佳銘氏によれば、製品ラインナップの刷新や販売台数の増加に伴い、同社のキャッシュフローは2023年後半に徐々に改善される見通しだという。7〜9月期はG3iの負の影響がまだ残るものの、10〜12月期には粗利率はプラスに転じるとしている。


VWからの出資を受け入れた小鵬汽車は、同社の大型SUV「G9」をベースにVWブランドのEVを共同開発する(小鵬汽車のウェブサイトより)

2023年6月末時点で、小鵬汽車の現預金などの残高は337億4000万元(約6745億円)と、2022年末時点に比べて13.37%減少した。とはいえ、小鵬汽車は7月26日にドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)と技術協力に関する枠組み協定に合意し、VWから7億ドル(約1018億円)の現金出資を取り付けており、手元資金は十分とみられる。

7〜9月期は3割増収見込む

小鵬汽車は2023年7〜9月期の業績について、EVの販売台数は前年同期比31.9〜38.7%増の3万9000〜4万1000台、売上高は同24.6〜31.9%増の85億〜90億元(約1699億〜1799億円)との予想値を示した。これを達成できるかどうかは、新型SUVのG6の販売動向にかかっている。


本記事は「財新」の提供記事です

「現時点で販売の足を引っ張る要素があるとすれば、(半導体など)スマート化関連部品の不足だ。とはいえ生産能力の拡大とともに、G6の月間納車台数は9月には1万5000台を超え、10〜12月期には2万台を突破するとみている」

小鵬汽車の創業トップの何小鵬董事長(会長に相当)は決算説明会で、今後の業績改善に自信を見せた。

(財新記者:謝韞力、戚展寧)
※原文の配信は8月19日

(財新 Biz&Tech)