「本当に飛行機らしい飛行機」 花形ではないが...歴史的場面でも運航、ボーイング767が飛び続けた40年
中型旅客機のボーイング767型機が国内線の定期便に就航してちょうど40年になる2023年6月21日、全日空(ANA)が羽田空港で記念イベントを開いた。
767は「ジャンボジェット」として知られた大型の747や後継の777のような「花形」ではなく、中型機も後継の787に世代交代が進む。それでも「ある意味古典的な飛行機で、本当に飛行機らしい飛行機」(767機長)として、現在もANAでは24機が活躍を続けている。
ハイテク化進めて2人乗務が可能になった中型機
767は1983年6月21日に羽田-松山、大阪(伊丹)-松山で運航を始めた。これにちなんで、普段はボーイング787型機で飛んでいる松山行きのNH589便を今回だけ特別に767で運航。搭乗ゲートでは787が運航を始めたのと同じ1983年生まれの767機長、中里恭洋(なかざと・やすひろ)さん(39)があいさつし(NH589には別の機長が乗務)、1983年から現在までの4代の制服を着た客室乗務員(CA)らが記念品のネックストラップを乗客に配った。
767以前の中型機は、操縦士2人と航空機関士1人の計3人で乗務する必要があったが、767はCRT(カソード・レイ・チューブ)ブラウン管計器をはじめとするデジタル装備品を多数搭載してハイテク化を進めたことで、中型機としては初めて航空機関士なしの操縦士2人のみで運航できるようになった。
その後、767は国際線にも投入され、歴史的にも重要なチャーター便で登板する場面も多かった。02年の北朝鮮による拉致被害者5人の帰国、15年の天皇皇后両陛下(今の上皇ご夫妻)によるパラオ訪問などだ。20年には新型コロナウイルスが武漢で拡大し、日本人を退避させるためのフライトを5便武漢に飛ばした。
日本航空(JAL)が767を導入したのはANAの2年半後、1985年11月1日の羽田-福岡便。12月2日には国際線(成田-ソウル)にもお目見えした。
「自分で操縦したときのコントロールがダイレクトにつながる」
前出の中里さんは、767の副操縦士を経て777を担当。その後767に復帰して22年に機長に昇格している。777がANAで導入されたのは、767より12年ほど遅い1995年。操縦かんの動きを電気信号に変えてフラップなどを動かす「フライ・バイ・ワイヤ」と呼ばれる仕組みがボーイング社の民間機として初めて導入された。
中里さんは、こういった経緯から767と777では「操縦している感覚も若干の異なりがある」と説明。767は「ある意味古典的な飛行機で、本当に飛行機らしい飛行機」だという。
「767ならではの良さ」を質問されると、
「自分で操縦したときのコントロールがダイレクトにつながる、というのがすごく良いところ。全てのフライトで自分が操縦しているという感覚を味わえることが767の良さ」
「40年を迎えるということで、長い歴史を持っている飛行機。非常に成熟しており、飛行方式なども完成された飛行機だと思っているので、非常に安全な乗り物だと思っている」
と話していた。
ANAではこれまで767を97機導入。そのうち現役は24機だ。後継の787は、その3倍以上の79機が飛んでおり、世代交代が進んでいる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)