横浜FM対柏の決勝ゴール前に起きた接触を検証(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

写真拡大

横浜FMの決勝ゴール前、柏FW細谷シーンを議論

 スポーツチャンネル「DAZN」の判定検証番組「Jリーグジャッジリプレイ」で、6月10日のJ1第17節、横浜F・マリノスと柏レイソルの試合が取り上げられた。

 4-3で横浜FMが制したこの試合では、決勝ゴールシーンにつながる攻撃の直前にファウルがあった可能性について議論された。

 この場面は柏が最終ラインからロングパスを送ったところを、横浜FMのDFエドゥアルドがカット。ここからの逆襲でゴールまでつながった。しかし、エドゥアルドがカットしたパスに柏のFW細谷真大が抜け出しを狙っていたところ、横浜FMのDF永戸勝也との接触で転倒していた。ピッチ上ではゴールが認められたが、ゴールとなる攻撃の起点になる部分に反則の可能性があるとして御厨貴文ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)がオンフィールドレビューを進言。池内明彦レフェリーは映像を確認したうえで、ゴールを認めていた。

 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏は、この接触場面がゴールにつながる攻撃のAPP(Attaking Possession Phase)に含まれるのかという点について「厳密に言うと、APPの前なのかなと。ボールをカットしてパスが出るところからがAPPのはず。ただ、ほぼ同時とも見えるので、APPのタイミングでファウルの可能性があったと言える。VARが介入したことが、競技規則と照らし合わせても間違えだったとは限らない」と話す。

 ゲスト出演した元日本代表MF福西崇史氏は「確実に(背後に)抜けたならファウルで仕方ないけど、エドゥアルドが取れるような状況のボールだと考えたらファウルではないのかな」とコメント。一方で、パスが通る可能性を感じるものであればファウルの判定もあり得るとの意見を示した。

 また、同じくゲスト出演した元日本代表DF坪井慶介氏は元DFの視点から「ファウルを取られがちなシーン。故意じゃないけど、実際に当たって引っ掛かっているので、僕も取られたことがある。ボールの軌道が背後に抜けていないし、エドゥアルド選手が余裕を持ってカットできているのでファウルではないと思う」と話し、こちらもパスが通りそうな状況ならファウルになるのではないかと話した。

「競技規則上はあくまでも不用意かどうか」と家本氏指摘

 家本氏は大前提として、細谷にパスが通るかどうかを「基本的に考慮しない」として、「ボールが届かなかったこととコンタクトがあったことは関係ない」と話した。そのため論点はこの接触を反則と判断するか否かで、それが「不用意な」コンタクトに該当するかどうかとされた。それを受けて福西氏は「それを聞くと考えは少し変わった。ほぼ、ファウルになるんじゃないか」という意見も話した。

 家本氏は「不用意な接触かアクシデントにあたるかで、競技規則上はあくまでも不用意かどうか。VARは主審が見えてなかったとして介入した可能性がある。そのうえで映像を見た主審が不用意と判断しなかったシーンではないか」とした。一方で「同じような場面でファウルになる割合、確率がどれくらいか」という視点を提示。この部分の解釈によって変わるプレーだとした。家本氏は「僕はこれをずっとノーファウルにして、ノーファウルを主張してきた人間。ただし、これが日本でファウルになっている可能性は多いと思う。ただ、あくまでもアクシデントでどちらにも非がないと思う。レフェリーの判断は適切だと思う」と話した。

 ただし家本氏は「仮にこれがパスが背後に抜けてコンタクトした時に、勇気を持ってアクシデントによるコンタクトとしますかとは聞いてみたい。人間だから状況が全く影響しないとは言えない。それは論点、1つのポイントかなとは思う」と、ボールの行き先が判定に影響を与える可能性は否定しなかった。(FOOTBALL ZONE編集部)